アニメDVD 米国市場の問題点とは

米国のコミック・アニメ情報サイトICV2が発行している『リテールガイドICV2トゥアニメ』に、昨今の米国アニメDVD市場に関する面白い記事が出ている。記事のタイトルは『いくつかを勝ち取り、いくつかを失う(Win a Few, Lose a Few)』である。

記事によると、米国で日本アニメのDVD・ビデオの売上が不調であると思われているが、実は2005年の第1四半期はそれが反転しているという。近年、米国市場におけるアニメのDVD・ビデオの伸び悩み落込んでおり、DVD流通会社は苦しい状況にあるとされている。
しかし、この記事では2005年の第1四半期のウォルマートを除くDVDの売上げは7%増であり決して悪くないと指摘している。

では、なぜこうした流通業者から嘆きの声ばかりが聞こえるかと言えば、DVDの売上げ自体でなく市場構造の変化に原因があるためだという。
この記事が指摘する市場構造の変化は、ひとつは長期に亘る市場からのDVD販売価格の値下げ圧力であり、もう1点は日本から作品を購入する際のライセンス料の高騰である。こうした環境の中で、一部の『鋼の錬金術師』、『攻殻機動隊』、『アップルシード』、『犬夜叉』といった作品だけが成功をしているとICV2解説する。

アニメDVDの小売販売動向は、日本だけでなく米国でも二極分化していると言われる。ファンがプレミア価格を載せても積極的に買う作品と、実質的な値下げを余儀なくされるその他の作品とに分化しているためだ。
こうした状況は、ファイル交換ソフトを利用した違法な映像交換も大きな影響を与えている可能性が強い。つまり、ファンへの訴求力の弱い二番手、三番手のアニメ作品はこうしたファイル交換と市場がまともにぶつかっていると考えられるからだ。
ICV2でもこうした状況を、“ファンサブと違法なダウンロードが、価格の高すぎるアニメDVD市場といった問題をさらに悪化させている”としている。こうした作品のDVD小売価格は劇的に下がりつつあり、採算分岐点を越えられない作品が増加している。このためライセンス価格の高騰もあり、大人気作品をあまり扱えない中堅以下の流通業者の利益を圧迫している可能性が高い。
 
こうしたことから米国市場における日本アニメのビデオグラムの不振は、日本アニメの勢いに翳りが出ているという以上に、DVDの市場環境の変化に理由があると言える。もしそうであれば、DVDの問題解決には魅力ある作品の提供を行うといったこれまでの戦略だけでは不十分だといえるだろう。
新たな戦略は、近年加速するマンガマーケットや音楽マーケットとの組み合わせや流通コストのかからないインターネットによる作品配信などが考えられる。今後数年間で、米国におけるDVDビジネスのあり方は大きく変る可能性が高い気がする。
[数土直志]