観光資源としてのアニメ 経団連が提言

6月21日に、社団法人日本経済団体連合会が『国際観光立国に関する提言』とうものだしている。この提言は産業としての国内観光の国際化を提言したものであるが、マスメディアの取り扱いかたが面白かった。
グーグルやヤフーで調べるとこの話題を取り上げているメディアは3媒体で読売新聞、産経新聞、ウェッブサイトのITメディアである。ITメディアと産経新聞の見出しは共に経団連が『アニメ・ロボット博覧会』の開催を提言とされており、残りの読売新聞は見出しにはないものの短い記事のかなりの部分がこの『アニメ・ロボット博』の提言についてになっている。
ところが6月22日に日本経団連のウェッブサイトに公開された『国際観光立国に関する提言』と『国際観光立国に関する報告書』を見てみると面白いことが判る。このアニメ博覧会に触れた部分は7ページの資料の『提言』で5行、25ページを超える『報告書』でも7行のみなのである。つまり、アニメ博は提言のメインというよりも、全体のごく一部にしか過ぎない。

興味深いのはニュース自体より、こうした資料の中からアニメといった部分だけがクローズアップされる現状である。つまり、それは記事を読む側にアニメが観光資源になるかもしれないという強い期待感の現われに違いない。
それでは、日本が観光立国を目指す時に、本当にアニメはそれを支えるほどのコンテンツになるのだろうか。答えはイエスでもありノーでもある。
日本の観光客の多くが欧米よりむしろ近隣アジアからの観光客により支えられているのは既知である。さらに、最近では若い世代の観光客も増えている。そうした観光客が、富士山や京都、浅草だけで満足するとはとても思えない。特に、観光客のリピーター化を目指せばなおさらである。ニューヨークやロンドン、パリ、香港といった人気の観光地の魅力が歴史や自然というよりは、文化や街そのものであるように日本も東京や大阪のサブカルチャーを観光資源として売り込むことが大きな力を発揮する可能性は大きい。その代表としてアニメというのはありである。勿論、その後ろにはファッションや音楽といった他のサブカルチャーもつながっている。

しかし、日本アニメが人気あるからそれだけ単独で博覧会を開き、大量の観光客というのは高度成長的な地域おこしの発想でしかない。それは一過性に過ぎないし、愛知万博をみても地元経済の別の面での活性化になるが、観光客に望まれているものとも思えない。
むしろ必要なのは、海外から来た観光客が渋谷や銀座、秋葉原、新宿などを回り好きなお店や、イベントにアクセス出来ることである。アニメファンなら博覧会みたいに大きくなくてもいいから、日本アニメに触れることの出来るお店や施設、スタジオツアーといったものかもしれない。アニメを観光資源として考えたいのなら、地方活性化といった方法ではなく、むしろ都心の中にあるアニメを観光資源として発掘する方向こそが必要に思える。
[数土直志]