一般マーケットに広がる深夜アニメ

深夜アニメというとSF作品やアクション作品、あるいは萌えを意識した少女キャラクターが活躍するマニア向けの作品が一般的に思われている。深夜アニメというとニッチな市場、時にはごく少数の顧客を意識したスーパーニッチな市場を狙ったものというイメージが強い。実際、深夜帯に放映されるアニメの多くは、一部の熱心な愛好家に支えられているケースも多い。
ところがネット調査会社のC-NEWSと日経産業新聞が行った共同調査によると、アニメファンを越えた広い視聴者層に深夜アニメ作品が到達していることが明らかになった。両者の行った調査は、ネット利用者1000人にインターネットを通じて行ったもので、回答者は首都圏在住の12歳以上の男女で男女比は半々であった。

この調査結果によると深夜で放映される大人向けの恋愛やサスペンス番組の人気が高まっており、中でも回答者の25.8%が週に一回以上深夜アニメを観ているという。この数字を高いと見るか低いと見るか議論が分かれるところであるが、特にアニメファンという属性を設けていないことや男性に較べてマニア層の少ない女性回答者が半分を占めることを考えると、深夜のアニメ番組には思われているより一般大衆に大きな支持があると考えて良いのでないだろうか。少なくともマニアなアニメファン以外の視聴者が想像以上に多いといえる。
勿論、ネット調査であるため回答者の多くがハードなインターネット利用者だったり、アニメや深夜テレビの視聴と親縁性が高いという可能性も強い。調査におけるそうしたバイアスを考慮に入れてもDVD売上枚数に較べてかなり高い数字といえるだろう。

C-NEWS編集部の報告にあるように、とりわけ視聴経験のある上位作品は面白い結果である。『MONSTER』、『ガラスの仮面』、『火の鳥』、『ハチミツとクロバー』といった作品群は、マニア向けというよりも広く大衆にアピールする作品である。
こうした一般視聴者の視聴行動は、地上波放送の深夜帯がマニア向け作品でなく一般的な成人層のための時間帯として利用できる可能性を感じさせる。
しかし、仮に深夜帯で一般に向けてアニメ作品を放映するとしても、収益回収のためのビジネスモデル作りは難しい課題といえる。つまり、一般向けであることでDVDの販売があまり期待できず、関連商品の展開も多くは期待できない。収益の回収手段は極めて限られることになる。当然、考えられるのが放映権料による収入だが、深夜帯の放映権料は通常の時間帯に較べて放映権料は安く、さらに深夜帯のアニメには通常以上の制作費がかかっているものが多い。そうであれば、DVDの販売やDVD・ビデオレンタル、さらにインターネット送信も加えて多角的な収入源で広く浅い収益を目指すことになる。こうしたビジネスモデルが今後成立可能か興味深いところだ。