「クレヨンしんちゃん」の中国での著作権裁判 8年を経て双葉社が勝訴

国内出版社の双葉社は、このほどマンガ作品『クレヨンしんちゃん』の著作権に関わる中国での裁判で、勝訴判決を得たことを明らかにした。2012年3月23日に上海市第一中級人民法院は、双葉社の主張を認めるかたちで、中国企業による『クレヨンしんちゃん』(中国名:蝋筆小新)とそのロゴの商標登録を無効とした。
また、判決では『クレヨンしんちゃん』(蝋筆小新)のイメージは、原作者臼井儀人による独創性のある創作物と定義した。さらに被告に対して中国の商標登録管理の秩序を乱し、公共の利益に損失を生じさせたと厳しい意見を述べた。最終的に双葉社に与えた経済的損失として25万人民元(日本円約330万円)と、双葉社側が侵害停止のためかけた費用5万人民元(日本円約66万円)の支払いを命じた。双葉社側の全面的勝訴となった。

もともとこの訴訟の始まりは、2004年8月に遡る。双葉社が中国で人気の高いマンガキャラクター『クレヨンしんちゃん』の事業展開をしようとしたところ、中国の現地企業が先にイメージとロゴを登録していることが発覚した。
双葉社はオリジナルの作品の保持者として、この無効を申し立てていた。しかし、2004年に双葉社の申し立ては司法機関に受理されず、一時は日本側の『クレヨンしんちゃん』の関連商品が店頭から撤去されるなどの事件も起きていた。
その後、2008年に双葉社の再審請求を受理すべきとの判断が下ったものの中国の司法機関の方針が錯綜していた。2011年9月にようやく審理再開となり、3月23日の判決にこぎつけた。

長い期間はかかったものの、今回の結果は、日本にとってふたつの点で意味がある。ひとつは、マンガやキャラクターだけでなく、中国でしばしば行われる海外の人気創作物が自国に入る前に、当該者より早く登録して権利を主張するやりかたが明白に否定したことだ。先例が出来たことで、コンテンツ、キャラクター、ブランドのパワーでビジネスをする企業には朗報だ。
もうひとつは、中国企業は怖い、非合理的なことが起きる市場と考える日本企業の不安をある程度払拭する可能性があることだ。とりわけ、アニメ、マンガ、キャラクター関係者にとっては、今回の『クレヨンしんちゃん』のケースは、中国は合理的な法制度が働かない国という考えの象徴的な存在であった。それが否定され、日本のスタンダードでも納得する結果を得られたことは日本企業に安心感を与える。
アニメに関して言えば2010年代に入り、日中のアニメを通じたビジネス交流はより深まる兆しをみせている。そうしたなかでの今回の判決は、両国のビジネス交流を一層活発化させる効果もあるだろう。

双葉社 http://www.futabasha.co.jp/