クランチロールが語る海外アニメ配信-スピーチ「世界的アニメ・プロジェクト」

CEO兼共同設立者のクン・ガオ氏

 3月22日、東京国際アニメフェア2012にて、ステージイベント「世界的アニメ・プロジェクト」が行われた。これは海外で日本のアニメのインターネット配信を行う企業、クランチロールが業界関係者向けにサービス内容を語るもの。
 壇上にはCEO兼共同設立者のクン・ガオ氏と、日本法人であるクランチロール株式会社のビンス・ショーティノ社長が登壇し、プレゼンテーションを行った。

 北米の大学生によって2006年に母体となるサイトを立ち上げたクランチロールは、当初は違法な動画もふくめて多数アップロードされていたが、2007年に会社化。2008年に本格的にビジネスを開始し、2009年に日本のコンテンツホルダーと正式なライセンス契約を締結。現在では日本のアニメ作品を、日本での放送の30分後から英語字幕付きで配信するサービスを行い、約30万人のユーザー、月間1000万回以上の再生回数を誇る一大ポータルサイトとなっている。

 日本国内からは地域制限で配信中のアニメを視聴できないこともあり、知る人ぞ知るといった存在だが、北米を中心とした海外では積極的に利用されており、クランチロールに関するニュースについても本サイトにて繰り返しお伝えしている。講演ではクランチロールの正式サービスによって違法ダウンロードが減少し、作品によっては7割減を果たしたという成果も紹介された。

4月第1週からはラテンアメリカ向けにスペイン語でのサービスも行われる

 スピーチでは今後のプロジェクトとして、4月からWindows Mobile向けのアプリをリリースすること、夏ごろにEコマースストアの開設を予定していること、4月第1週に、ラテンアメリカ向けにスペイン語でのサービスをスタートさせること、という3点がそれぞれ発表された。
 そもそもラテンアメリカではDVDやブルーレイといったソフトを購入する習慣が根付いていない状況であり、合法的な動画配信が普及すれば、一足飛びのビジネス的進化となる。日本のアニメ配信がまだ過渡期にあることを考え合わせると、こうしたクランチロールのスピーディーなビジネス展開は大いに示唆に富むと言えるだろう。

 このほかに全体を通して、有料視聴に留まらないEコマースの戦略強化と、英語以外の言語圏のユーザーに向けたグローバス化の推進について、両氏から強調して触れられた。海外でのアニメ配信のキーとなる存在として、日本からも引き続きクランチロールの動向に注目していきたいところだ。
[取材・文 野口智弘]

 

日本法人の社長を務めるビンス・ショーティノ氏4月からWindows Mobile向けのアプリをリリースすると発表

 

4月からWindows Mobile向けのアプリをリリースすると発表
4月からWindows Mobile向けのアプリをリリースすると発表