インドにおけるコンテンツビジネスの可能性 インド版『巨人の星』も公開

シンポジウムレポート「クール・ジャパン・フェスティバル -インドにおけるコンテンツビジネスの可能性-」
インド版『巨人の星』も公開

公開された『Rising Star』のプロモーション映像。大リーグボール養成ギプスも登場し、魔球を駆使してクリケット界に旋風を巻き起こす、という『巨人の星』の骨子はそのまま。

3月25日、「東京国際アニメフェア2012」の会場にて、シンポジウム「クール・ジャパン・フェスティバル -インドにおけるコンテンツビジネスの可能性-」が行われた。

このシンポジウムは、2011年10月より経済産業省が実施している「クールジャパン事業」のインドでの現状報告を主眼としたもの。その一環として、3月16日~18日にインド・ムンバイにて開催され6万人以上が来場した「クール・ジャパン・フェスティバル・2012」のアフターレポートなどが行われ、巨大マーケットとして注目が集まるインドでのコンテンツビジネスの今後について意見交換が交わされた。

今回のシンポジウムにおいて、現地事情に通じた登壇者からとくに強調されたのは、インド市場のポテンシャルの高さ。2011年の国連人口基金の発表で12億人超の人口を抱える国であり、かつ世界経済のなかでは比較的好調を維持していることもあって、中間層と富裕層の拡大がキャラクタービジネスの需要の高まりにつながっていることが述べられた。

こうした点については、質疑応答の際に聴講者から日本との物価の差、貧困層も多いインドにおいて単純な数的な広がりがビジネス的な成功につながるのか、海賊版対策、宗教観などインドの文化に合わせたローカイゼーションの難しさ、などの疑問が呈された。これらについては富裕層だけでも7000万人と概算されており、仮にそうした層だけを顧客と想定した場合でも十分な市場であること、またすでに現地での成功例として『ドラえもん』『忍者ハットリくん』といった日本の作品が、正式なライセンス契約を経て食品パッケージなどに使われていること、アニメ専門チャンネルの拡大、さらにビジネスシーンにおいては英語でのコミュニケーションが双方可能であること、などのメリットが返されている。総論としては、現状ハードルとなっている部分も多々あるが、それぞれ乗り越えるだけの価値がある、というのが登壇者の共通見解のようだ。

このほか、日印国交樹立60周年企画を記念し、日本とインドが共同で行うコンテンツ政策として、先ごろ講談社が発表したインド版『巨人の星』のアニメ制作についての状況報告も行われた。この作品は『Rising Star』というタイトルで『巨人の星』の野球の要素を、インドの国技であるクリケットに置き換えたもの。制作はトムス・エンタテインメントとインドのアニメ制作会社が共同で行なっており、おもにキャラクターデザインや演出などを日本で、作画などの実制作をインドで行う形で進んでいるという。インド国内では今秋から日曜ゴールデンタイムでの放送を予定しており、ゆくゆくはクリケット人気の高い国での放送や、日本でのDVDリリースも視野に入れているとのこと。

中国に続くアジアの超大国として熱い視線が集まるインド。将来的には中東やアフリカへの展開も見据えた橋頭堡として、日本産コンテンツの人気の高まりを、どのような形で活用していけるのか、今後も注目していきたいところだ。
[文・取材 野口智弘]

左よりLA DITTAの小里博栄氏、講談社国際事業局インドプロジェクト担当部長の古賀義章氏、早稲田大学高等研究所の七条直弘准教授。

 

インドでのコンテンツビジネスの実例から。現地の子供たちに人気の『Chhota Bheem』という作品で、腕時計、キーホルダー、Tシャツといった定番のキャラクターグッズが展開されている。

 

星一徹にあたる主人公の父はクリケットの元代表選手という設定。カーストを考慮し、中間層で所得が低い層という生い立ちになっている。ちゃぶ台返しもアレンジして登場するとか。
 
主人公「スーラジ」(右)はムンバイ出身という設定。原作の花形満にあたる「ヴィクラム」(左)のほか、左門豊作、伴宙太などのライバルもインド各都市の出身として登場する予定。