TGS2009 海外企業の動向レポート2 (台湾編)

 TGS2009では台湾パビリオンは「台湾ゲーム館」と題し、10社の企業のゲームコンテンツが展示された。主催はTAITRA(Taiwan Trade Center/台湾貿易センター)。
 台湾はPCパーツなどのハードウェア面では優れた開発力、生産力で知られているが、いまやソフトウェアの面でも大きな存在となっている。
 台湾は華僑ネットワークの入り口だと私は思っている。全世界に広がる中国語圏ビジネスに飛び込もうとしたら台湾から入るのがスムーズだと感じる。ゲームも同じだ。台湾ゲームは台湾国内はもちろん、中国大陸、東南アジアの島国を視野に入れて展開をするものが多い。この視点をもってゲーム開発を行う企業は日本には少ないだろう。
【柿崎俊道】

■ XPEC Entertainment Inc.

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すべてのオンラインゲームはブラウザゲームになる

 XPEC社は日本や欧米の企業よりアウトソージングを請け、多くの有名ゲームを手がけている企業だ。アクティビジョン社の『カンフーパンダ』、バンダイナムコゲームス社の『Bounty Hounds Online』などだ。
 同時に自社開発のオンラインゲームも多数手がけている。彼らが開発するオンラインゲームにはひとつの特徴がある。それはすべてブラウザゲームであるということ。
 代表取締役会長のAaron Hsu氏(許金龍氏)に話を聞いた。
「弊社は国外からのアウトソージング事業を進めつつ、9年前からブラウザゲームの研究を続けてきました。ブラウザゲームはふだん皆さんがお使いのインターネットブラウザソフトでゲームをする新しいオンラインゲームです。ゲームソフトウェアをインストールする必要がないため、誰でも気軽に遊ぶことができます。今後、すべてのオンラインゲームはブラウザゲームになると考えています」
 XPEC社が開発したブラウザゲーム『みんなの冒険大陸カナン』は8月21日からハンゲームにてすでに正式サービスを開始した。
 日本進出を着実に進めているXPEC社だが、Aaron Hsu氏は日本市場をどのように見ているのだろうか。
「ビジネスで成功を目指すのは大陸、名誉を得るのは日本です。日本市場で成功を収めれれば私たちの大きな誇りとなるでしょう」

■ ZEALOT DIGITAL INTERNATIONAL CORPORATION

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若者人口が多い東南アジアで成功を目指す

 TGS2009の出展ゲームのなかで気になるタイトルがあった。『大越伝説Online』(The Legend of Dai Viet)という、大越、つまり古代ベトナムを舞台にしたPCオンラインゲームである。ベトナムの地をモチーフにしてユーザーがいるのか、と興味が沸いた。
 ZEALOT社の副総経理 YELLOX WONG氏(黄晋誠氏)に話を聞いた。
「ベトナムには4000年の歴史があります。『大越伝説Online』はその内、紀元前2000年から紀元前200年に栄えた二十雄王の時代をモチーフにしたMMORPGです。雄王というのはベトナムでは子どもでも知っている英雄です。ひじょうにポピュラーな題材といえるでしょう」
 そもそも、なぜベトナムなのか。
「弊社は東南アジア市場を開拓したいと思っています。たとえば、アジアの先進国であるタイは高齢化が進み、今後の若者市場は頭打ちになるでしょう。しかし、ベトナムや周辺国は若者が非常に多い。有望なゲーム市場になるでしょう」
 ベトナムの人口は約8,616万人(2008年)(外務省より)。その内、60パーセントが30歳以下の若者といわれている。
「弊社は支社をベトナムにも置き、現地の声を取り入れながら開発を進めています。ベトナムには10社のゲームパブリッシャーがあります。どのパブリッシャーになるのかはまだ決まっていません。現在は開発と交渉を同時に進めながら、サービス開始を目指しているところです」

■ 龍華科技大学

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iPhoneアプリ開発を授業に取り組む

 小さなブースに二十歳前後の若者が集まっていた。ブースの壁に貼られたポスターを見れば、どうやらiPhoneアプリを扱っているところらしいが……。話を聞いてみると、企業ではなく、学校とのこと。台湾桃園県にある私立龍華科技大学であった。
 マルチメディア・ゲーム発展学科の梁志雄主任に話を聞いた。
「紹介しているゲームはすべて学生が作ったiPhoneのゲームアプリです。iPhoneは素晴らしいですよ。学生でも開発が短期間で行えるし、世界に向けた販売もできる。自分の作ったゲームの反響がすぐにわかるから学習効果はとても高い。とてもいい教材です」
 アップル社の提供するiPhoneとApp Storeはゲーム市場に現在、大きな刺激を与えている。大手パブリッシャーが本格参入するには市場が小さいが、小回りの利く小さなデベロッパーや個人が参加するには、非常に具合のいい市場となっている。
「じつは台湾の就職状況はひじょうに悪いのです。学生は卒業しても、勤める場所がない。そこでiPhone開発に習熟していれば、自分で起業ができるでしょう? 学生の内から、卒業後を見据えた活動ができるのは、とてもいいことだと思います」


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