数土直志
ここ数年、劇場アニメの興行と変化が注目を浴びている。アニメ映画の堅調と小規模劇場公開の活発化が、映画ビジネスの新たな可能性を感じさせるからだ。
実際には、2011年の劇場アニメにもビジネス的には厳しい結果の作品は少なくないが、12月公開の『けいおん!』に代表されるヒット作も多く、依然劇場アニメへの関心は高い。何よりも、アニメビジネス環境が変化するなか、新しいやりかたで映画館を作品のウィンドウ展開に組み込む方向性が顕著になり、劇場でアニメを上映するビジネスはますます活発化している。
こうした流れを受け2012年は、さらに大きな変化が生まれそうだ。そこで2011年の流れを振り返りつつ、現在、公表されている2012年公開の劇場アニメのラインナップと伴に、来年の注目点を考えてみたい。
2012年に劇場公開が決定している劇場アニメは、2011年12月30日までに発表された情報をまとめると30本だった。これは当サイトが、本年1月10日時点で集計した2011年公開予定の作品数22本を既に上回っている。
まだ公開予定を発表していない作品、発表はされていないが新作シリーズが定番化している「劇場版アンパンマン」、秋シーズンの「プリキュア」シリーズなどを考えれば、公開本数は今後まだ増えるだろう。2012年も引き続き、劇場アニメは高水準で公開される。
量だけでなく、2012年は劇場アニメの今後だけでなく、アニメビジネス全体を見回して興味深いトピックスが盛りだくさんだ。特に2012年に注目される動向として、「劇場利用の多様化(イベント上映/ODS)」、「新世代監督」、「フルCGアニメーション」を挙げたい。
[映画フォーマットを解き放つアニメ イベント上映]
[ODSとアニメイベントの可能性]
[個性的な作品群: ヱヴァ、細田守、神山健治]
[台頭するフルCGアニメーション]
2012年劇場アニメ公開作品リスト
(一部、OVA、テレビアニメのイベント上映を含んでいます)
[1月7日]
■ マジック・ツリーハウス
■ チベット犬物語 ~金色のドージェ~
■ 特別編集版『セイクリッドセブン 銀月の翼』(イベント上映)
[1月21日]
■ ドットハック セカイの向こうに
[1月28日]
■ 英雄伝説 空の軌跡 THE ANIMATION 第2部(イベント上映)
[2月4日]
■ ベルセルク 黄金時代篇Ⅰ 覇王の卵
[2月11日]
■ ドラゴンエイジ ブラッドメイジの聖戦
[3月3日]
■ 映画ドラえもん のび太と奇跡の島~アニマル アドベンチャー~
[3月10日]
■ スクライド オルタレイション 後篇 QUAN(イベント上映)
[3月17日]
■ 映画プリキュア オールスターズ NewStage みらいのともだち
■ ストライクウィッチーズ劇場版
[4月7日]
■ 宇宙戦艦ヤマト2199 第一章(イベント上映)
*以降第7章までイベント上映
[4月14日]
■ 映画 名探偵コナン 11人目のストライカー
■ 映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス
[4月21日]
■ ももへの手紙
[春]
■ GOTHICMADE 花の詩女
■ 紙兎ロペ
[6月2日]
■ 劇場版 BLOOD-C The Last Dark
[6月23日]
■ ベルセルク 黄金時代篇Ⅱ ドルドレイ攻略
[初夏]
■ 劇場版 図書館戦争
[7月14日]
■ 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ「キュレムVS聖剣士」
[7月]
■ 『おおかみこどもの雨と雪』
[8月18日]
■ 劇場版 FAIRY TAIL
[夏]
■ 劇場版 NARUTO-ナルトー2012(仮)
■ グスコーブドリの伝記
■ 魔法少女リリカルなのは The movie 2nd A’s
■ 劇場版 アンパンマン(未発表・毎年新作公開)
[秋]
■ ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
■ 009 RE: CYBORG
■ ベルセルク 黄金時代篇Ⅲ 降臨
■ 劇場版 プリキュアシリーズ (未発表・毎年新作公開)
[2012年]
■ 傷物語
■ 劇場版 青の祓魔師 (仮)
■ バイオハザード ダムネーション
■ サカサマのパテナ
[2012年以降]
■ 劇場版 STEINS;GATE
■ センコロール2
■ 劇場版 とある魔術の禁書目録
■ 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ
■ マルドゥック・スクランブル 第3部
■ TIGER&BUNNY 2部作
■ 虹色ほたる
■ SEINT◆SEIYA(劇場版 聖闘士星矢)
■ マスエフェクト
[2013年以降]
■ SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK
[2012年にイベント上映が見込まれる作品]
■ 機動戦士ガンダムUC 5章、6章
■ るろうに剣心 明治剣客浪漫譚 新京都編 後編