HISTORICA 押井×西久保 宮本武蔵への思い

押井守監督、西久保瑞穂監督、京都のイベント、HISTORICAにて
『宮本武蔵 ―双剣に馳せる夢―』に対する思いを語る

kyotokaizyo2.JPG 京都で9月26日から開催中のKYOTO Cross Media Experience2009の一イベント、HISTORICA。『Trans-media』と『Trans-culture』をキーワードに今年はじめて開催されたイベントのテーマは「越境するサムライ」ということで、26日、27日に同テーマにちなんだ作品上映とトークイベントが同市内の祇園甲部歌舞練場弥栄会館で行われた。
 その最終イベントに位置付けられたのが、押井守監督と西久保瑞穂監督によるセミナーだ。『宮本武蔵―リアルとフィクションの狭間にみる剣豪キャラクターの魅力』と題し、京都文化博物館森脇清隆氏司会のもと、様々なディスカッションが行われた。その前のセッションでは『宮本武蔵 ―双剣に馳せる夢―』が上映されていたこともあり、会場は250人あまりの聴講者をむかえ大いに盛り上がった。

押井脚本決定稿は、蘊蓄9割。「読物」としては最高の出来

directoroshii02 まず冒頭で、押井氏が『宮本武蔵 ―双剣に馳せる夢―』の製作にあたったきっかけについて説明。もともと海外のドキュメンタリ系の放送チャンネルから、宮本武蔵に関するアニメをつくることに関するオファーを受けたことがきっかけだったという。
 結局、話は立ち切れになったが、アイデアそのものは温め続けた。そのような中で-そのアイデアをある企業が興味を持ってくれたという。ただ宮本武蔵に対する思い入れが深かった押井氏は、自分の作品を単にチャンバラ活劇にするつもりは当初からなかったということもあり、興味を持った企業に対しては人気漫画のような活劇になることは絶対にないと説明。それでも一緒にやりたいということで話が進んでいったという。

 これに対し、西久保監督がある日、メールで脚本が送られてきたが、そこにはすでに決定稿と書かれた事に驚きを覚えたと当時の状況を述懐した。
 西久保氏は、これを「押井氏にあとの仕事を自分にまかしてもらっているのだ」と理解し、作品の制作を粛々と進めたという。結果的に脚本と完成作品では、内容が半分ぐらい変わったという。
「押井氏の脚本は、冒頭のみがアクションでのこりは「うんちく」だった」と西久保氏。押井ファンは同氏が 作品の中で繰り広げる「うんちく」が好きなのだということを認めながらも、それでは、一般の人にとっては、エンターテインメントとして成立しないということから、「うんちく」とアクションをバランスよく織り交ぜる展開にしたという。

 これは、押井作品では、『機動警察パトレイバー2the Movie』以降の傾向であるしとし、このような変更でも押井氏が手掛けた作品として違和感がないだろうという確信とともに進めたとのことだ。ここで、押井氏が「作品を見ていて観客が居眠りしそうな瞬間にビクッと驚かすタイミング」と解説し、開場の笑いを誘った。