日本アニメ・フェスティバルin上海 ライブやイベントで盛況 

日本アニメ・フェスティバルin上海 ライブやイベントで盛況 
中国市場の可能性と課題

 日本と中国の映像文化の交流を目指し、11月23日から中国の北京と上海で「日本アニメ・フェスティバル」が始まった。11月23日に北京で、11月25日には上海で開幕式があり、その後にアニソンライブコンサートや、コスプレショーや日本からのゲストも交えたトークショーなどのアニメイベント、さらに新作アニメを紹介する上映会などがおよそ10日間続く。
 イベントは、2010年に温家宝首相が来日した際に、日本と中国の映画、テレビ番組、アニメの交流促進をさせるものとして提案されたのを受けたものだ。両国政府が主催する。6月の中国での日本映画の紹介、10月の日本での中国映画、アニメーションのイベントを受け、再び中国に戻り、今度はアニメに絞った企画となる。

 10月の東京での中国アニメ・フェスティバルの際には、コンシュマー向けBtoCだけでなく、日本企業と中国企業がビジネスマッチングを行うBtoBの側面が強かった。しかし、今回のイベントはBtoCの側面がより強くなっている。中国で正式に紹介される機会が減っている日本アニメをより多くのファンに伝えたいという日本側の思いが強く出たかたちだ。
 上海では11月26日に、上海国際体操中心で行われたアニソンライブコンサート「動漫歌曲演唱会」 がファン向けでは最初のイベントだった。ゲストは今回で4回目の上海ライブというMay‘nさん、2011年は中国で積極的に活動する牧野由依さんの二人がステージに立った。
 ピアノの弾き語りなども交えてじっくりと音楽を聴かせる牧野さん、アップテンポな曲を中心に会場と一体になるMay‘nさんと異なった魅力で日本のアニメソングを伝えた。現地のファンから熱狂的な声援を受け、最後は全員がスタンディングになる盛り上がりをみせた。

 翌27日には、上海を代表する複合ショッピングセンター正大広場にある大型スーペースでアニメイベント「アニメ文化交流会」が行われた。こちらは日中のアニメーション関係者のトークやコスプレショー、さらにキャラクターグッズの販売などが人気を呼んでいた。
 トークイベントでは、日本から手塚プロダクションの松谷孝征社長、原恵一監督、そして中国からTOONMAXの魚潔氏、上海美術電影の朱毓平氏が参加した。TOONMAXは、上海メディアグループのアニメーション事業会社、上海美術電影は中国で最も古いアニメーション制作会社である。ゲストはそれぞれの立場から日中のクリエーションについて、そして過去から現在、未来に向かってのアニメを通じた交流、協力について語った。

 また、今回注目されるのが、12月2日から始まるアニメ映画上映会である。イベント開催にあたり日本の劇場アニメ10本が上映される。映画祭としての上映となるため、ほとんどの作品が各都市2回上映と回数は限られるが、『クレヨンしんちゃん』、『NARUTO』、『ドラえもん』、『涼宮ハルヒ』、『銀魂』、『ヱヴァンゲリオン新劇場版』、『プリキュア』、『テニスの王子様』などの最新作が並ぶ。いずれも中国で劇場公開されるのは初めてとなる。
 日本の劇場アニメが、これだけまとまって上映されることはこれまでになく、アニメの中国展開拡大を目指す日本側にとって大きな成果となった。新作アニメが大型スクリーンで観ることの出来る機会が限られていることもあり、サイトでの無料チケット受付にはいずれの作品にも多数の応募が集まった。 

 日本アニメ・フェスティバルは、日中のアニメーション分野での友好演出で大きな成果を残した。また、アニメの人気とその熱狂をあらためて確認でき、日本側は今後のビジネスの可能性に手応えを感じはずだ。
 一方で、ライブ、イベント、上映会、いずれでも、来場者は事前登録者(抽選)のみという厳しい規制が設けられている。また、中国では海外アニメの映画上映、テレビ放映、映像パッケージの輸入、、マンガ出版といずれも依然、許可制が取られている。中国進出は、他国以上にハードルが高い。
 フェスティバル開催中には、図らずもテレビ東京が12月から『NARUTO』などの日本のアニメシリーズを中国で日本のテレビ放映同日でのネット配信サービス開始というビッグニュースが発表された。インターネットが中国でのアニメビジネスを変え、新たな突破口になるのか、そこからグッズなどの関連市場拡大につながるのか、今後の動向が注視される。
 しかし、少なくとも、今回の様なイベントが提案され、実施される意味は大きい。そこには中国から日本に対して何かしらの期待があり、メッセージあると考えられるからだ。
[数土直志]

日中映像交流事業
「日本アニメ・フェスティバルin上海」
http://www.anifes.com.cn/anifes/index.jsp?lan=jp