アニメ共同製作の可能性は? ビジネスの現場からトーク

 第24回東京国際映画祭の期間中は、映画祭を中心に普段はあまりみられない作品が多数紹介され映画ファンを楽しませた。一方で、近年、この時期に増えているのが、映画、放送、アニメーションなどのビジネス、文化に関係するセミナーだ。映画を観ると楽しみと同時に、映画を考えるというわけだ。
 10月26日に行われた「アニメ共同製作:海外とのパートナーシップと資金調達」は、そんななかでも特に興味深いものだった。近年特に関心が高まっているアニメ制作における共同製作の経験と知識を共有するものである。
 コミックス・ウェーブ・フィルムの角南一城プロデューサーを司会に、現在、海外との協業事業を進めるビジネスパーソンの話を聴いた。登壇者の秋田穣さん(ポリゴン・ピクチュアズ プロデューサー)、ジョセフ・チョウさん、フレデリック・プエチさん(Planet Nemo Animati社長/プロデューサー)は、一般にはあまり馴染みがないかもしれない。しかし、いずれも現在特に注目される海外協業に携わっている。

 チョウ氏は、『EXMACINA』、『Halo Legends』などのプロデュースを手掛け日本と米国をアニメ映画でつなぐ。現在は海外を巻き込むかたちで『Starship Troopers: Invasion』、『SPACE PIRATE CAPTIN HARLOCK』に関わる。
 フレデリック氏の経営するプラネットネモはフランスの会社である。良質のテレビアニメとして注目を浴びた『リタとナントカ』を日本アニメーションと共同製作した。
 秋田氏が所属するポリゴン・ピクチュアズは、海外からのCGアニメーションの受託で注目される企業だ。その作品は世界各国で放映される。

 シンポジウムの目的は、海外とのコラボレーションの成功例を紹介することで、成功のための共通する要因を抽出することだったかもしれない。しかし、今回の話からは、むしろ一様に語られることが多い共同製作には様々なかたちがあり、個別性が強い。それぞれの経験と立場から、独自のビジネスを築いている。
 例えがチョウ氏は、米国から制作を受ける国は多いが、そのほとんどが受託となっている。日本は受託に慣れていなく、自分で作ることに慣れているという。そして、海外企業が日本に来るのは日本のスタイル、アニメが好きだからと説明する。日本のアニメスタイルを強調することでプロジェクトを進める。

 一方、秋田氏の場合は、日本ではまだ少ないCGアニメーションの受託というスタイルが中心だ。そこには、日本と違う仕事観が存在する。例えば、契約や書面主義などだ。また、クライアントを理解する重要性も指摘する。
 今回、唯一、海外からの発言となったフレデリック氏の仕事は、一般にイメージする共同製作に一番近い。その共同製作にあたっては、コミュニケーションの違いはどの国であっても難しいという。フランスと北米、フランスとアジア、それぞれ違いがあり、プロデユーサーの仕事はその橋渡しなのだと話す。こうした困難を乗り越えて共同製作を進めるのは、チームを作ることで互いの強みを補完できることという。そして、日本に対しては、共同製作を怖がらないで欲しいと語った。

 3人の経験にもし共通することがあるとすれば、経験値の高さかもしれない。難しいとされる共同製作も、時間と回数を重ねることで、当たり前のビジネスの形態のひとつとなる。そして、その経験はまず一歩を踏み出すことから始まるのでないだろうか。
[数土直志]

ユニジャパンエンタテインメントフォーラム
http://unijapan.org/entertainment-forum/seminar.html
アニメ共同製作:海外とのパートナーシップと資金調達

秋田穣
(ポリゴン・ピクチュアズ プロデューサー)
角南一城
(コミックス・ウェーブ・フィルム 取締役/プロデューサー)
ジョセフ・チョウ
(SOLA DIGITAL ARTS 社長/プロデューサー)
フレデリック・プエチ
(Planet Nemo Animation 社長/プロデューサー)

主催: 公益財団法人ユニジャパン