角川G 出版・アニメ製作メディアファクトリー80億円で買収

 角川グループホールディングス(角川GHD)が、出版、映像・アニメの有力企業メディアファクトリーを買収する。10月12日、角川GHDはリクルートが100%保有するメディアファクトリーの全株式を取得すると発表した。取得価格は80億円、11月15日付で株式譲渡される。
 角川GHDは国内有数の出版グループ、また映画やアニメなどのエンタテインメント事業も幅広く手掛ける。アニメ業界でも有力プレイヤーのひとつだ。一方、メディアファクトリーは、人材紹介や生活情報のリクルートで出版・エンタテイメント事業部門を担ってきた。両社の事業が統合されることで、角川GHDのコンテンツのラインナップが拡大する。

 メディアファクトリーは1986年にリクルートの書籍出版部門をスピンオフすることで誕生した。書籍情報誌「ダ・ヴィンチ」を発刊するほか、マンガ誌や単行本などカジュアルな分野の出版を得意とする。ライトノベルと呼ばれる若者向けの小説レーベルMF文庫Jもよく知られている。
 さらに、映画やアニメの製作、映像パッケージの発売、商品・玩具、音楽パッケージなど幅広いエンタテインメント事業を展開する。アニメでは『僕は友達が少ない』、『IS』、『ゼロの使い魔』など自社グループの原作のアニメ製作を行っている。劇場アニメでは2012年1月公開の『マジックツリー・ハウス』、2011年は『星を追う子ども』を手掛けた。
 メディアファクトリーの平成23年3月期の売上高は189億2600万円、当期純利益は11億8100万円、過去3年間、売上げも収益も安定した優良企業である。

 角川GHDはメディアファクトリーの買収の理由について、雑誌、書籍、マンガの出版事業とアニメ製作、商品化事業のバランスのよさを挙げる。メディアファクトリーのクロスメディア展開の強みは、角川GHDの目指すメディアミックスやワンソースマルチソース展開に親和性が高く、事業の拡充や展開に大きな力になるとしている。
 一方、これまでメディアファクトリーの親会社であったリクルートは、人材広告や紹介をはじめとした生活情報がコアビジネスとなっている。メディアファクトリーの売却資金をコア事業に投入するとみられる。

  メディアファクトリーと角川GHDのビジネスモデルはよく似ており、角川GHDにとっては馴染みやすく、ビジネスのシナジー効果は短期間で期待出来るだろう。
 ライトノベル市場でのグループの存在感の拡大が特に注目されそうだ。角川書店、富士見書房、アスキー・メディアワークスなどにメディアファクトリーが加わることで、この分野の作品の大半が角川GHDから出版されることになる。また、アニメ映像パッケージ事業でも存在感が一気に大きくなるほか、メディアファクトリーが得意とするポケットモンスター関連事業も注目される。
 角川GHDは「BOOK☆WALKER」の設立やニコニコ動画を運営するドワンゴへの出資など、近年デジタルメディアの展開を強めている。デジタル分野ではラインナップの豊富さもビジネスの行方を左右する重要な要素とされる。メディアファクトリーの買収には、そうした思惑もありそうだ。

角川グループホールディングズ http://www.kadokawa-hd.co.jp/ 
メディアファクトリー http://www.mediafactory.co.jp/