ディズニーはピクサーを買収するのか?

 米国の3DCGアニメーションのトップブランドといえば、『トイストリー』や『Mr.インクレディブル』などで大成功を収めたピクサーであることを否定する人はいないだろう。そしてその成功の裏には、ピクサーと長年パートナーシップを組んできたディズニーとの関係があった。
 その両社の関係が今年初めに破局したことは、ここ最近のアメリカのアニメ産業で話題になった最も大きな事件である。

 ピクサーとディズニーの提携解消の理由は、自社コンテンツの力に自信を深めたピクサー側にあるとされている。つまり、同社が作品の劇場公開の際に収益の折半ではなく、ディズニー側への配給費用だけを支払うことを求めたためだとされているからだ。
 これは一般的に制作会社より配給会社の力が強いとされるアメリカの映画市場では異例な契約で、強力なコンテンツを武器にその立場が逆転してしまった典型といえるだろう。結局、ピクサーの要求を呑めないディズニーが両社の提携関係を失うことになった。ディズニーが配給するピクサー作品は来年公開の『Cars』が最後になる予定である

 米国の情報会社ダウ・ジョーンズによれば、この互いに歩み寄れない両社に対して、ウォール街ではウルトラC的な解決策が話題になっているという。それは、ディズニーがピクサーに資本出資をする、もしくは買収するという案である。
 これは、ウォール街のレポートでも幾つか報じられており、例えばクレディスイスファースボストンは、ピクサーのステーィブ・ジョブス社長がディズニーの取締役会に入り、世界有数のメディア企業の大株主になる可能性があるとしている。また、アニメーションの制作本数が少ないピクサーに対して、株主からも制作のスピードを挙げるなんらかの変化は望まれているともしている。
 確かに考え方としてはあり得る話であるが、現在のピクサーの過大評価されている株価を考えると非現実的という声が、業界では多数を占めるという。また、両社ともそうした観測を否定している。

 しかし、創業者ウォルト・ディズニーの時代から現在まで、ディズニーが最も重視してきた事業がアニメーション映画であることはいうまでもない。アニメーション映画での優位性を譲らないとの同社の強い意志があれば、今後、意外な動きがあるかもしれない。
 とりわけ先週は、メジャースタジオの一角であるパラマウントがドリームワークスを買収し、ドリームワークス・アニメーションとの関係を築きあげたばかりであればなおさらである。