9月29日付の米国の経済情報メディア ブルームバーグによれば、米国のアニメーション製作会社ドリームワークス・アニメーションが2012年以降、作品の自主配給に乗り出すことを検討している。これは同社とパラマウント・ピクチャーの配給契約が2012年で終了することに伴うものである。
ブルームバーグは関係者3人から得た情報としてこれを伝えている。デジタル配給を使い自主配給を実現することで、公開時期やプロモーションの主導権も自ら握る意向とする。
ドリームワークス・アニメーションは、1994年にマイケル・アイズナー、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・ゲフィンの3人が設立した映画製作会社ドリームワークスのアニメーション部門がスピンオフするかたちで2004年に誕生した。「シュレック」シリーズや「マダガスカル」シリーズ、「カンフー・パンダ」シリーズなど幾つもの人気アニメーションを生み出してきた。フルCGアニメーションではピクサーと並ぶ2大スタジオブランドとなっている。
ドリームワークス本体は、2005年に大手メディアコングロマリットのバイアコム傘下に入り、作品の劇場配給は同グループのパラマウントが担当していた。しかし、2008年のドリームワークスが同グループを離脱、劇場配給もディズニーに変更している。
こうした一方で、ドリームワークス・アニメーションの映画配給は、パラマウントが2012年まで引き続き行う契約が結ばれている。ディズニーには既にライバル会社のピクサー、そしてディズニーのふたつのスタジオがあり、ドリームワークス・アニメーションの入る余地がないこと、逆にパラマウントにとっては集客力の高いアニメーション作品の大型ブランドを持つドリームワークス・アニメーションに魅力があったためである。
しかし、パラマウントは2011年3月に自社製作のフルCGアニメーション『ランゴ』を大ヒットさせている。この結果、新たにバイアコムグループのアニメーション部門ニコロデオンの協力も得て、自社スタジオ「パラマウントアニメーション」設立を発表している。こうした背景もあり、パラマウントとドリームワークス・アニメーションの2012年以降の新たな配給契約交渉は、その条件を巡り難航していた。
今回の報道が確かなら、ドリームワークス・アニメーションはハリウッドメジャーを通さない自主配給に乗り出すことになる。今後の同社の戦略を大きく左右することになる。
大型ブランドを持つドリームワークスであるが、同社は配給事業経験はない。デジタル配給でどの程度の劇場がカバー出来るのか、効果的なプロモーションが可能なのかなど懸念も多い。
ドリームワークス・アニメーション
http://www.dreamworksanimation.com/