米国アニメ配信クランチロール 違法アップローダーを訴え

 米国のアニメ情報サイトのAnime News Network(ANN)によれば、米国で日本アニメ動画配信サイトを運営するクランチロール(Crunchyroll)は、YouTubeに日本アニメを違法アップロードした13人をテレビ東京と伴に裁判所に訴えた。
 報道によれば訴えは、今年5月11日に行われた。被告たちが『NARUTO』、『NARUTO 疾風伝』、『Bleach』の無許諾のコピー、アップロード、配信を行い、両社に多大な被害をもたらしたとし賠償を求める。被告に対する召喚状は7月から9月に送られた。裁判所は和解を提示しており、11月18日に原告と被告の話し合いが持たれるという。

 今回の法的執行についてクランチロールのCEO クン・ガオ氏は、ANNにて対して状況を説明している。
 クランチロールは『NARUTO 疾風伝』、『Bleach』の海外向けの公式配信を行い、それはYouTubeの公式チャンネルでも観ることが出来る。しかし、クランチロールは特定のアカウントによりYouTubeに同社が配信権を持つ作品が違法にアップロードされ、2億回以上再生されていることを発見したという。
 クランチロールからの度重なる警告にも関わらず、これらのアカウントの所持者は違法アップロードを繰り返し、そこで法的執行に踏み切ったと話す。さらに同社は法的執行はアップローダーに対して行われるもので、ファンや視聴者は対象としないと強調する。

 クランチロールは英語圏を中心に日本アニメの動画配信をする大手企業である。新作タイトルの豊富さと、日本での放映直後という配信スピードの速さがサイトの売りとなっている。なかでもテレビ東京などから配信権を獲得している『NARUTO 疾風伝』、『Bleach』は、目玉タイトルになる。
 米国にはVIZ Mediaやファニメーションなど他にもいくつか動画配信サイトを持つ企業がある。しかし、両社はDVD・BDのパッケージ商品の発売やキャラクターライセンスが主要事業である。
 配信事業に特化するのは、この春にアニメ配信をスタートしたばかりのニコニコ動画英語版とクランチロールだけとなる。同社の収入の大半は有料視聴会員からの会員料、及び動画配信に付加された広告によるもので、アニメの動画配信ビジネスへの依存度が高い。今回の法的執行にはそうした背景もあるだろう。

 さらに最近の日本の権利者の姿勢の変化も理由にあるかもしれない。もともと、日本での放映直後のアニメ配信は、日本と海外の放映時差をなくすことでインターネット上に多い違法配信の除去と配信による収益化を目指していた。
 しかし、2009年初めにクランチロールが日本との同時期配信を本格スタートしてから2年半経つが、海外での違法配信状況は依然深刻だ。日本の権利者は違法配信が、海外から期待出来る収益の一部を奪っていると考えている。テレビ東京はクランチロールへの出資も行っていることから、こうした状況を深刻に見ているとみられる。

 これまでコストと手間がかかることから、日本の権利者の多くは海外での法的執行に消極的だった。しかし、今年1月には東映アニメーションから配信権を獲得するファニメーションが、アニメ『ワンピース』をファイル共有ソフトBit Torrentを通じて視聴していた1000人以上を訴えている。また、同じ1月には違法配信を止められないことを理由に『フラクタル』の海外配信を一旦停止することも起きた。
 また、国内行政でも海外での違法配信の横行を大きな問題とする動きが強まっている。アニメを巡る海外での法的な動きは今後も続く可能性が高そうだ。

Anime News Network(ANN)
http://www.animenewsnetwork.com/news/2011-09-21/crunchyroll-tv-tokyo-sue-youtube-users-for-unauthorized-anime-uploading

クランチロール(Crunchyroll)
http://www.crunchyroll.com/