中部圏経済レポートに「けいおん!」地域振興の調査報告

 2009年のテレビアニメ化以来、アニメファンのなかで一大ブームを巻き起こした『けいおん!』シリーズは、今年冬の劇場公開に向けて一段と盛り上がりを見せている。いまや国内を代表するアニメのひとつとなっている。
 そうしたなかでアニメ『けいおん!』を題材に、コンテンツツーリズムと地域振興を分析する調査レポートが発表された。財団法人中部産業地域活性化センターが発刊する調査季報「中部圏研究176号」に掲載された「コンテンツツーリズム―アニメ「けいおん!」でまちおこしプロジェクト ~ファンの“居場所”を観光資源に豊郷小学校旧校舎群への聖地巡礼を育てる町~」である。
 レポートは財団の客員研究員である坂口香代子氏が執筆したもので、コンテンツーリズムを特集した第2弾となっている。中部産業活性化センターは中部9県の産業経済の発展を目指す研究団体である。

 今回も、そうした趣旨からコンテンツ(アニメ)と連動した成功例として、地域振興と結ぶついた趣旨で取り上げている。そうした趣旨であるがレポートは、アニメファンから見ても興味深いものとなりそうだ。
 滋賀県犬上郡にある豊郷小学校旧校舎が「けいおん!」の舞台となったとされること、そしてそれが聖地巡礼(ファンによる作品舞台の訪問)を生み出したことはよく知られている。しかし、そうした一連の動きをまとめたものはなかった。今回はそれを11ページにもわたりまとめている。

 内容は、豊郷小学校旧校舎の歴史とその価値から始り、さらにそれがどのように聖地巡礼に結びついていったかを説明する。そのうえで、地元の有志やファンによる活動、その中から生まれらアニメ舞台の再現やライブイベントなどを紹介する。とりわけ最後の付記された『けいおん!』と町おこしの関連年表は力作だ。
 レポートの優れた点は、アニメファンやアニメ関係者でなく、地域経済の専門家の視点でまとめられていることだ。作品と外部との関わりが丁寧に、客観的に説明されている。『けいおん!』単体の作品としてだけでなく、アニメと地域振興を理解するうえでのとても分かりやすい事例となっている。

財団法人中部産業地域活性化センター http://www.cirac.jp/
調査季報 「中部圏研究」 http://www.cirac.jp/report/kihou.html