ネット海賊版マンガの実態 調査結果を報告 経産省 

 経済産業省は、2011年3月まで「平成22年度知的財産権侵害対策ワーキンググループ等侵害対策強化事業」として行ったインターネット上のマンガに対する知的財産権侵害対策に関する調査結果の報告書を公開している。
 この調査は経済産業省の委託により電気通信大学が行ったものだ。特に海外を中心にマンガの違法アップロードの実態を、具体的なサイトの現状や作品数、量、利用状況、サイトの仕組みまで明らかにしている。さらに削除要請に対するサイトの対応や関連企業による海賊版に対する認知度なども調査に含まれる。

 日本マンガの海外展開において、インターネット上の海賊版の存在が大きな問題として指摘されるようになって久しい。これまでも実態調査は行われてきたことはあるが、全容を知るにはかならずしも十分でなかった。今回の調査はその規模と範囲において、こうした問題を理解する大きな助けになる。
 例えば、調査では海賊版マンガの閲覧は、動画サイト、コミック閲覧サイト(アグリゲーターサイト)、ストレージサイト、ブログの4つのタイプのサイトがあり、それぞれが異なった特徴を持つことなどに触れる。また、アニメの違法アップロードよりも、類似画像検索システムによる海賊版コンテンツの検索が難しいことなども明らかにする。この問題を理解するうえで有益な情報が多い。

 海賊版マンガの実態では、これまでたびたび指摘されたとはいえその数字の大きさに驚かされる。例えばAlexaの世界総合ランキング642位のMangastream.comを筆頭に数多く海賊版サイトが人気サイトの世界ランキング上位に名を連ねる。そうしたサイトのひとつMangafox.comに掲載されている作品数は6786作品、11万6112話にも及ぶ。さらにMangafox.comにアップされたある作品は、1ヶ月間で約1億ビューにも達している。
 調査ではこうしたサイトは大手動画共有ポータルサイトや公式サイト、公式配信サイトと同等かそれを上回るアクセス数を集めていると解説する。さらに、海賊版翻訳、アップ、サイト運営の組織化やビジネス化の可能性に言及する。また、現在は英語、中国語が中心だが、今後はスペイン語、ベトナム語、インドネシア語など他言語で拡大する可能性があるともする。
 こうした詳細な調査に比べて今後の課題は、継続的な取り組みや動画共有サイトとの連携、検索技術の向上、削除要請プロセスの確立など新規性に乏しい。むしろ今後の取り組みは、この調査結果を見た国や業界、関係各社に委ねられたと言えるかもしれない。

経済産業省 http://www.meti.go.jp/

平成22年度
知的財産権侵害対策ワーキング・グループ等 侵害対策強化事業
自動検索技術を用いたコミック等の静止画における知的財産権侵害対策に係る調査
報告書
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2011fy/E001761.pdf