ポール・アレン氏ドリームワークスアニメ株売却へ

 昨年10月に米国ニューヨーク市場の上場に成功した米国の大手アニメーション製作会社ドリームワークスアニメーションSKGは、複数の大株主が合計でおよそ5億ドル分の株式を売却する予定だと明らかにした。この大株主の中には、マイクロソフトの共同創業者で大富豪として知られる最大株主のポール・アレン氏が含まれる。さらに、GEの子会社であるビベンディ・ユニバーサル・エンターテインメントとリー・エンターテインメントが売却を行う。
 今回の株式売却の中には会社の設立者スティーブン・スピルバーグ氏、デービッド・ゲッフェン氏、ジェフリー・カッツェンバーグ氏の3氏は含まれていない。3氏は株式公開の際に、公開後365日間の持株売却を禁止するロックアップ条項の契約を結んでいるためである。

 ドリームワークスアニメーションは、元々ハリウッドの有名プロデューサーであるスピルバーグ氏とゲッフェン氏、カッツェンバーグ氏により1994年に設立された。昨年夏には、一般映画部門から独立するかたちで株式上場を果たし大きな成功を収めている。
 米国の経済情報会社ブルンバーグによると、今回の売却は株式公開から株価が40%近く上昇したことが理由であるという。現在ドリームワークスの手掛ける3DCGアニメーション『マダガスカル』の5月27日の映画公開後に持ち株を売却する方針である。アレン氏は昨年秋の株式公開の際にも6000万ドル分の株式を売却している。

 ポール・アレン氏が場違いとも見えるこの会社の大株主であるのには理由がある。会社設立の際にベンチャーファンドなどの多くがドリームワークスの出資に躊躇する中で数少ない出資者がアレン氏であったためである。アレン氏は、会社設立当時でおよそ6億ドル程度をドリームワークス本体に投資している。この結果として、アレン氏の個人会社は現在ドリームワークスアニメーションの株式の24%を持つ最大株主になっている。しかし、今回の売却でドリームワークスアニメーショへの影響力は大幅に後退することになるだろう。

 ポール・アレン氏は、実は熱心なSFマニアとしても知られている。2004年6月には、シアトルにSF関連の資料を集めたSF博物館(The Science Fiction Museum and Hall of fame)を建設するなどSFに対する愛情は強い。『スタートレック』の世界を再現した展示を売りものにしたこの博物館は設立費用だけで約22億円がかかっている。それ以外にも、ロック博物館とも言うべきExperience Music Projectの設立など複数の非営利組織の設立を手掛けている。
 アレン氏のサブカルチャーに対する深い関心は、単なるビジネス上のものだけでなく同時に深い愛情も共にあるといえる。逆に言えば、そうした愛情を持っているからこそドリームワークスの持つ将来性をいち早く捉えることが出来たともいえよう。
 現在、日本にITやネットビジネスの中から多くの若い新興富豪が誕生している。今後、この中から、例えば日本アニメやマンガ・ゲームといった文化の保存のために私財を投じる人やそうした分野の才能に個人として投資出来る人物が現れるのかは気になるところである。