中国の海外アニメ放映規制とアニメイベント

 3月22日の人民日報社日本語版が中国のアニメ産業の現状について伝えている。記事は、中国メディアによくある産業育成の成果や数字を強調するものだが、興味深い内容が一箇所あった。それは、現在中国で行われている海外アニメの放映制限の具体的な内容に触れている点である。
 記事によると中国国内で放映事業統括する国家広播電影電視総局は、国内アニメの育成を目的として次のような指示を放送局に出しているという。
 1点目は、放映時間ベースで国内と海外の作品比率を6:4に維持すること、2点目は作品数の比率は1:1とすること、3点目は国産アニメを生産してない放送局は海外アニメを輸入してはいけないということである。

 こうした規制は中国だけでなく、フランスや韓国でも取られており珍しいことではない。しかし、中国のこうした数字はこれまでメディアに載ることはあまりなかった。
 ここで注意を惹くのは放映作品の比率が1:1であるのに対し、放映時間は6:4である点である。つまり、これは中国のアニメ作品は再放送が多いことを意味している。深読みをすれば、本来は作品ベースでも6:4にしたいが、再放送抜きではそれを実現するだけの十分なアニメ作品の生産力が中国国内で育っていないことである。
 人民日報記事は“ 2003年に制作された中国アニメ作品は、時間ベースで3万分足らずだったが、国家広播電影電視総局(放送・映像作品部門)が今年これまでに制作を認可したアニメ作品はすでに23万分に達している。”といった生産力の増加をことさら誇示しているのもそうした事実の反映と考えられる。

 また、同記事はアニメ専門チャンネルの増加や大学、教育におけるアニメ人材教育の促進や国家広播電影電視総局によるアニメ・マンガ関連イベントを今年から開催することもニュースとして伝えている。記事によるとこのイベントは杭州で開催され、現在、杭州にはアニメ・マンガ関連会社が50社以上集中しているという。
 このイベントのニュースはやはり中国の大手メディアである新華社も3月21日のニュースとして伝えている。記事によると第1回中国国際アニメーション祭と名付けられたイベントは、家放送映画テレビ総局と浙江省政府によって6月1日から5日まで開催される。
 また、アニメーション祭の期間中に、博覧会、アニメーション作品の受賞、中国国際アニメーション産業サミットフォーラムといったことを行う。
 しかし、こうした中国行政によるアニメ産業育成のためのイベントは北京、上海を初め多くの都市で複数開催されており、どのイベントが実際にビジネスの現場に影響力があるか判断がつかない。各省ごとの動きや団体ごとの動きも背景にあるのかもしれない。
 実際には、こうした博覧会(ビジネスフェア)は、中国のアニメーション産業がまだ対外的な売込みを行うのに力不足であることや、逆に海外からの売り込みはビジネスフェアという場よりもっと人脈を生かした場があることを考えると国内企業同士のビジネスの場か、行政機関や各種団体による業界の鼓舞の場と考えられる。そして、定期的にメディアに掲載されるアニメ産業の成長、育成方針といったものも、そうした範疇にあるのであろう。