北米アニメ流通会社AnimeEigo 「寅さん」のDVD発売

 米国で日本アニメの発売、流通を行うAnimeEigoは、今年10月に日本で人気の高い渥美清さん主演の「男はつらいよ」シリーズをDVDで発売する。リリースされるのは、『男はつらいよ』をはじめとする映画4本で、DVD-BOXにまとめられる。
 AnimeEigoは『ああっ女神さまっ』や『うる星やつら』、『YAWARA!』といった日本アニメの翻訳ライセンスの販売で知られた企業だが、近年は日本の名作映画や時代映画・ドラマの発売に力を入れている。『子連れ狼』や『座頭市』、『楢山節考』、『日本のいちばん長い日』といったラインアップがある。今回は、そうした中で日本人に最も馴染みの深い映画のひとつを北米に紹介することになる。
 
 AnimeEigoがその社名にあるアニメ分野から実写映画に事業の重点を動かすのは、やはり近年のアニメDVD市場の不振が影響を与えていると考えられる。AnimeEigoが得意とするマニア向けの作品は、『ドラゴンボール』や『ポケットモンスター』、『NARUTO』といった子供向け、大衆向けの作品に較べて、アニメDVD市場の中でも打撃が大きかった。
 近年、こうした分野を得意とする北米の流通会社は、事業縮小や撤退に追い込まれるケースが多い。そうした中でAnimeEigoは、アニメから実写と別の分野を開拓することで新たな展開を図っている。

 邦画市場のマーケットはアニメよりさらに小さいが、AnimeEigoの扱う時代劇や名作映画はライセンス獲得のための費用が高くない。またテレビアニメと違い、違法ファイルがネット上にほとんど出回っていないという利点もある。
 一方で、日本アニメを中心に成長してきた企業が、邦画を取り扱うケースはAnimeEigo以外にも広がっている。大手アニメ流通会社であったADヴィジョンのスタッフは、2008年秋に日本のB級、C級映画を主に扱う新しいレーベル「Switchblade Pictures」を設立している。大手のファニメーションも、『SHINOBI』や『蒼き狼 地果て海尽きるまで』といった日本の大作映画のライセンスを獲得し、市場で展開した。

 また、アニメ・マンガ出版の大手VIZメディアも、実写映画ビジネスを行うVIZピクチャーズを設立している。同社は『20世紀少年』や『デスノート』の大作や『下妻物語』、『電車男』といった日本ポップカルチャーファンと親和性の高い作品など幅広く扱う。
 こうした背景には、クール・ジャパンと呼ばれる日本の現代文化に対する関心が、従来のアニメやマンガだけでなく、さらに音楽や実写映画といった他の分野に広がっているのでないかといった思惑がありそうだ。特に邦画については、これまで北米市場にほとんどマーケットがなかったことから、各社が目をつけたと言える。

 しかし、一方でやはりマーケット規模の課題は大きい。例えば北米で人気が出てきたとされるJ-POPでは、一旦ビジネスの話になるとCDや音楽ダウンロードの市場は、現状で北米にほとんど存在しないとされる。
 また、実写についても、先のファニメーションは既にその実写映画部門のファニメーション・ピクチャーズの事業を停止している。関心の高さほどには、そのマーケットは十分に育っていない。

 そうした中で矢継ぎ早にタイトルのリリースするAnimeEigoの邦画ラインアップは、今後のビジネスの可能性を感じさせるものでもある。「寅さん」シリーズが、北米市場でビジネスになるとのAnimeEigoの読みの背景にあるものが気になるところだ。

AnimeEigo  http://www.animeigo.com/