YenPress カート・ハスラー氏に聞く 米国マンガの現況 1

■ [米国のマンガ市場が抱える問題とは?]

AA
その後、アシェットが立ち上げたマンガ部門YenPressに移り、すっと統括をされています。そしてマンガ業界の状況は変わり、現在はとても厳しい状況です。TOKYOPOPは北米でのマンガ出版事業から撤退しましたし、DC ComicsのマンガレーベルのCMXもなくなりました。
そのなかでYenPressは、マーケットシェア2位に浮上し生き残っています。なぜYenPressは生き残っているのですか?

K・H
それには様々な理由があると思います。会社によって状況も各様です。ただ、マンガビジネスがどんどん厳しくなっていることは事実でしょう。とりわけ海賊版は現在の業界にとって大きな問題です。マンガの人気はかつてないほどに高まっているのにとても残念ですね。

AA
マンガの人気は本当に高まっているのでしょか?

K・H
それは間違いないでしょう。実際に、業界の人が思っているよりも多くのファンがいるはずです。マンガファンは日本で出版されている作品についてもよく知っています。
ただ子供たちがその情報を得ているのは、海賊版のサイトを通してです。しかも、海賊版サイトはあまりにも多く、そして人気があります。しかも、かなりの子どもたちがそれを合法サイトだと思っています。大問題です。

AA
それがマンガの売上にも影響していると考えてられていますか。

K・H
マンガの売上がいつから落ちてきたのかを考えてみてくだい。それを遡って行くと、違法アップロードのスキャンレーションをまとめて紹介するアグリゲーターと呼ばれるサイトが立ち上がり始めた頃に行き当たります。
勿論、スキャンレーションのサイトはいつだって存在していました。でもそれはかつてはとても小さいサイトで、出版社も見ないふりをしていました。

AA
アグリゲーターサイトが状況を変えたのですか?

K・H
アグリゲーターサイトは、何百、何千というタイトルを掲載しています。マンガ業界にとっては、商品を無料でばらまかれてはどうにもならない。
私はアメリカのマンガ業界が縮小しているのは、ファンがいなくなったわけでないし、マンガに興味がある人が減ったわけでもないと思っています。むしろ興味がある人は増えています。
作品をライセンスして出版する際のタイムラグがアグリゲーターサイトで作品を読む人を生み出しました。そして違法サイトが業界の利益を奪ったのです。

AA
海賊版が日本のマンガにとって障害になっているのは、最近は多くの人に知られるようになっています。これ以外に日本のマンガのセールスの障害になっているものは何だと思いますか。

K・H
間違いなく、書店の減少が問題となっています。ちょうど先週(7月中旬)ボーダーズがすべての店を閉鎖することを決めました。私がボーダーズにいた頃は、マンガ全体の売上のほぼ半分がボーダーズを通してのものでした、去年は30%ほどです。
今年に入ってからはさらに下がってはいましたが、それでも書店の撤退は大きな問題です。消費者がマンガを見つけ、欲しい本を買える場所が少なくなっている。
Amazonがマンガビジネスにおいてシェアを急激に伸ばしていますが、しかし本屋の棚に並ぶという露出が減ることはマンガ業界全体にとって脅威です。

PART2 へ  電子書籍はマンガビジネスを変えるのか?