米書籍チェーンB&N 映像と結びつく リバティと資本提携 

 米国最大の書籍チェーンであるバーンズ&ノーブル(Barnes & Noble, Inc.:B&N)は、8月18日にメディアコングロマリットのリバティ・メディア(Liberty Media)と戦略的な業務提携、資本提携を行うと発表した。B&Nは2億400万ドルの転換権付き優先株式を新たに発行、リバティ・メディアがこれを引き受ける。これは新株式発行後のB&Nの発行済み株式の16.6%にあたる。またリバティ・メディアは、B&Nに2名の役員を派遣する。
 B&Nはリバティ・メディア以上に同社に相応しい投資家はいないとし、今回の出資で得た資金をデジタル分野での新たな投資に向けることを明らかにしている。しかし、両社による具体的な提携事業は明らかにされていない。さらに今回の資本提携締結により、先にリバティ・メディアによりだされていたB&Nの買収提案の交渉は打ち切られた。両社の間でどんな取り組みが可能なのかは未知数だ。

 リバティ・メディアは複数のメディアコングロマッリットに出資する投資会社であると同時に、映像関連企業のスターズ・メディア(Starz Media)グループの事業も手がける。映像企業と書籍小売チェーンのつながりは奇妙に映るが、鍵となるのはB&Nの手がける電子書籍リーダー端末のNOOKである。
 電子書籍端末の市場競争が激しさを増す中で、NOOKはアップルのiPad、アマゾンのKindleと互角の戦いを繰り広げる。とりわけKindleとの比較では、画面がカラーであること、端末の用途が広いことがセールスポイントになっている。
 これがリバティ・メディアが、B&Nに関心を持つ理由である。NOOKの市場シェア、そして電子書籍リーダーとしてだけでなく、映像をはじめとするさらに多くのコンテンツのプラットフォームになる可能性を秘めているからだ。
 一方、B&Nは、NOOKが将来のビジネスの可能性を秘めていることを信じるが、一方で現状は利益化出来ていない。しかし、インターネットマーケットの拡大と電子書籍ビジネスの進展で、既存の書店小売事業は長期的には縮小傾向にある。2011年はライバル企業ボーダーズ(Bordrs)の経営破綻と事業清算で助けられているが、企業業績も不安定だ。そこでデジタル分野への投資のための出資を求めていた。

 今回は、リバティ・メディアによる全面的な買収でなく資本提携にとどまったが、この選択はリバティ・メディアにとっても、B&Nにとってもむしろ好ましい。リバティ・メディアはB&Nの経営リスクを引き受けることなく、NOOKとのつながりを持てる。
 B&Nにとっては、今後さらに新たな出資者を求めるオプションが残る。例えば、メディアでB&Nの買収企業と噂になったことのあるグーグルなどの巨大IT企業が加われば、映像とプラットフォーム、テクノロジーとネットワークの拡大も可能だ。これまでと異なったマルチメディアな展開も期待できる。そうした意味では今回の提携は、今後のさらなる展開の可能性を秘めた波乱含みのものでもある。