東映アニメとGDH ERPシステム導入

 ERPという単語は多くの人には耳慣れない言葉に違いない。ERPは、Enterprise Resource Planningの略で日本語では統合基幹業務システムと訳されている。企業グループ全体を同じ基準で統合・管理し、経営資源の効率化を図るビジネスソフトのパッケージである。  1990年代に現われ急激に企業経営の現場で普及している。その範囲は自動車、銀行、広告代理店、大学などメーカーから公共サービスに及び幅広い。

 日本の大手アニメ製作会社である東映アニメーションとGDHが相次いでこのERPの導入を発表した。23日に、東映アニメーションはおよそ4億円をかけてドイツSAP社の『mySAP.ERP』を導入し、アニメーションのコンテンツ管理を行うと公表した。このシステムは本年1月17日より稼動済で、東映アニメーションの抱える世界一のアニメーションコンテンツ約8500本(TVアニメーション152作品、劇場アニメーション180作品)の収益管理効率化に力を発揮する。
 また、コンテンツごと、国別の収支、メディアごと予算管理も行い、収益配分の自動計算と会計がリアルに連動するという。ERPの導入により東映アニメーションは、活用頻度の低いコンテンツや未進出の国やメディアを把握し収支管理だけでなく、営業戦略にも生かす方針である。

 一方、GDHは2月9日に連結子会社3社を含めた財務部門、管理部門をSAP社の『SAP R/3 Enterprise』に統合したと発表している。こちらは、2004年の秋の上場に際して、会計業務のスピードアップ、連結会社との共通会計システムの必要性が背景であるとしている。GDHはさらに、現在利用中のシステムを著作権管理や販売業務に拡大する意向を持っている。また、今回のGDHの実績はSAPジャパンの春のセミナーでも紹介される予定である。

 なぜ両社は世間にあまり馴染みないERPの導入を相次いで公表したのだろうか。それは、一般的にアニメ関連企業の産業化は遅れていると考えられているせいかもしれない。ERPを導入したことで効率的な経営を行っていると意思表示することが、投資家に大きな安心感を与えると考えられるからだ。事実、ERPを導入することで、事務部門の効率化は大きく進展するだろう。
 元来ERPの得意とするところは、異なる部門の統合、複雑な会計や資金管理、国境を越えた業務の管理である。そう考えると、複数の作品を同時に製作・管理している点や属性の異なる多くの商品を抱える点、業務の国際化が進んでいる点などで大手のアニメ製作会社にとってERPは相性がいい。経営効率化を目的に今後もERPの導入は増えそうである。
 しかし、こうしたパッケージソフトの導入は現在非常に高額になりがちである。現在でもあるアニメ製作・制作会社の経営の2極分化をさらに加速化する危険性もあるかもしれない。