コンテンツファンドは危険か?

 週刊東洋経済2005年1月15日号は『映画ファンドブーム 投資家は守られるのか?』と題して、拡大する個人向けコンテンツファンドに疑問を投げかけている。コンテンツファンドは、政府による後押しもありコンテンツ産業の振興、資金調達方法の多様化の中で近年、アニメ、ゲーム、映画といった分野で増えている。
 こうした、ファンドの多くは匿名組合を設立して個人投資家から資金を調達している。東洋経済によれば、こうした匿名組合には運用状況などの情報開示義務がなく、それを規制・監督する団体もないという。そのため、投資家は事業者の報告を信じるしかない状態にある。
 東洋経済の主張は、既に存在する著作権の流動化促進、企業パートナーになりうる投資家向けのファンドの創生こそが重要で、一般個人向けの投資は投資基準が出来た後にするべきというものだ。そして、証券取引法の改正により不特定多数から資金を調達する投資スキーム全てを規制の対象にする必要があるとしている。

 東洋経済は、近年増加しているコンテンツファンドに水を指すものにもみえる。しかし、納得出来ることも多い。現在は、アニメファンド、ゲームファンド、映画ファンド、アイドルファンドは存在自体が珍しく、話題性が高い。既に設定されたファンドの多くは、事業者自ら情報を公開しており比較的信頼できるものが多い。社会的注目度が高い分、ファンドに不手際があれば影響も大きい。ある意味、社会がファンドの監督を担っているともいえる。
 しかし、コンテンツファンドが一般化し数も増えれば、監督や規制の不足によるトラブルの温床になるとの意見は説得力がある。東洋経済のコンテンツファンドには個人投資家は不要といった論調は疑問も感じるが、情報開示の枠組みは必要であろう。
 
 さらに、情報開示と同様に必要なのは、投資家もまたコンテンツファンドの投資が通常のファンド以上にリスクの高い投資であるという認識である。エンターテイメント産業は、本来的にリスクの高いビジネスである。アニメ、ゲーム、映画は当たれば大きいが、採算割れの作品も少なくなくない。また、日本の製作現場では完成保証がされないので最悪の場合は作品自体が完成しないこともありうる。こうした状況は、しばしば夢みがちになる投資家は忘れがちである。
 実際、アニメ製作などで一般的な製作員会といった仕組みも、こうしたリスクを作品関係者の中で分担する目的で誕生してきた側面もある。個人投資家が、単独作品にリスクを負い過ぎる危険性は高い。こうした、リスクの軽減のためには、単独の作品のためのファンドより複数の作品に投資するポートフォリオ型のファンドが必要されているのでないだろうか。複数の作品に投資する中で、全体として利益を確保するという考え方である。そうすることで、ファンドの規模も拡大可能になり、必要とされるファンドの管理コスト、調達コストも軽減が出来る。
 いずれにしても、成長し始めたコンテンツファンドに全く問題がないということはありえない。様々な意見が出ることで、よりよい方向に進むことが望まれる
[数土直志]