成長するインドのアニメ産業

 インドがアニメーションの新たな生産国として注目されている。理工系の豊富な人材と世界的に定評のあるIT技術が、アニメーション制作の面でも世界レベルに達しつつあるためだ。自国が製作したアニメーション”The Legend of Buddha”が今年のアカデミー賞アニメ部門の予備選考(ノミネート候補資格)作品に入るなど、インドはアニメーションの生産国として自信を深めつつある。
 この”The Legend of Buddha”は、S.S.パルケ監督によりブッダの生涯を90分にまとめた映画である。映画の総製作費はおよそ600万ドル(約6億1000万円)で、シンガポール政府などの協力のもとでインド、シンガポール、フィリピンで共同制作された。インド国内の興行収入は1200万ドル(約12億円)が見込まれている。

 2004年11月28日のインドのオンライン新聞Times of Indiaは、こうしたインドにおけるアニメーション産業の成長について次のように報告している。インドのアニメーションの人材と技術は既に世界レベルに達しており、アニメーターやゲーム開発者の供給地としてだけでなく、アニメーションそれ自体の生産国として頭角を現しつつある。最近の調査によると世界全体のアニメーション産業からの収入は2005年には500億ドルから700億ドル(約5兆1000億から7兆1000億)と予想される。インドのアニメーション産業の規模は、現在、5億5000万ドル(約560億円)であるが、2003年の6億ドルから2005年には15億ドルまで成長すると見込まれている。また、アンダーセンコンサルティングは、インドのアニメーション産業は2008年までに150億ドル(約1530億円)に達すると予想している。

 元々、インドは映画製作において世界一の生産国として知られている。このためアニメーションの製作も、国内市場だけでもビジネスモデルが成り立つ。これは、巨大な人口と消費者を抱えるインドの強みであろう。また、ハイテクの世界ではインドが工学系の優秀な人材が輩出しているのはよく知られた話であり、英語が標準語の1つとして用いられていることから、近年IT産業からからコールセンターといったサービス産業まで幅広い分野で北米企業のインドへの進出が続いている。インドのシリコンバレーと呼ばれるバンガロールの成長はその代表であろう。
 3DCGの重要度がますます大きくなるアニメーション、ゲームの世界においても、今後はインドの専門家に対する依存度は大きくなっていくのかもしれない。そうした中で、さらにインド独自のアニメーション制作が拡大していくのだろう。