北米の日本マンガ市場さらに減少 ICv2コンファレンスから

会場近くの旧Bordersの店舗。入居者を募集する貼り紙がでていた。

 7月20日、サンディエゴ・マリオットホテルで、「The ICv2 Comics, Media, and Digital Conference」と題したビジネス・コンファレンスが開催された。主催はポップカルチャービジネスメディアのICv2、7月21日から始まるサンディエゴ・コミコン(コミコン・インターナショナル)に合わせて、北米のコミックス市場をテーマにしたものである。
 ICv2は大型コンベンションでビジネスカンファレンスを行うことが多く、その目玉のひとつは同社がまとめる市場調査報告である。今回も2010年の北米コミックス市場、グラフィックノベル市場、マンガ市場の数字が発表されて関心を集めた。

 ICv2によれば、2010年北米コミックス市場(日本マンガ含む)は6億3500万ドル前年比7%減、3年連続の減少となった。雑誌スタイルのコミックスが8%減、単行本スタイルのグラフィックノベルが5%減である。スランプは、経済全体の環境、そしてBordersの経営破綻に代表される小売店の経営環境の悪化を理由とする。
 こうしたなかでより厳しい落ち込みを見せているセクターとして、日本の翻訳マンガが中心となるマンガが挙げられた。ICv2は2010年の北米マンガ市場を1億2000万ドル、市場全体の20%弱と見積もる。2009年比では15%減と、こちらも市場縮小は3年連続、市場全体より減少幅が大きい。市場が最も大きかった2007年からは43%減になる。為替の変動もあり、円ベースでは2007年には250億円近かった市場は2010年に約105億円と、さらに縮小感が大きくなる。(為替は該当年の平均レートで計算)
 それでもICv2は、2011年には下げ止まりの気配があるとする。2011年第1四半期のマンガの減少率は10%、依然縮小傾向にあるものの2008年17%減、2009年23%減、2010年15%減に較べてその幅は小さくなっているからだ。

 また、マンガ市場のトピックスを4つ挙げた。1)VIZ Mediaが市場シェア1位で強さを持っている、2)Tokyopopがマンガビジネスより脱落した、3)講談社が新たに市場参入した、4)YenPressが市場シェア2位に浮上した。
 マンガ市場の不振の原因については、あまり多く言及されなかった。過去数年間にかなりの議論が出尽くしてしまったことも理由かもしれない。しかし、コミコンの会場ではやはり違法配信の氾濫を指摘する声が多かった。アメリカンコミックスと較べても違法配信が多過ぎるため、ビジネスにし難いとの意見もあった。

 そうしたなかで、VIZ Media、そしてコミコンで発表のあったデジタルコミック協議会によるJMangaは成長分野のデジタルパブリッシングに期待をかける。そのデジタルコミックス市場についても報告があった。
 2010年の北米のデジタルコミックス市場の規模は600万ドルから800万ドルの間と推定する。数値の開きは、デジタルコミックスはICv2が得意とする流通段階の数字が押さえにくいためと考えられる。円換算では5億~7億円程度の小さな市場だが、2009年の100万ドルから急伸した。2011年にはさらに市場が倍になると予想する。
 背景にはタイトル数の増加、カスタマーの数が上昇傾向にあることを挙げる。ただし、問題点は販売単価が低いこと、技術への投資もあり、現在、ほとんど利益化されていないことだという。
[数土直志]

訂正:7月31日 デジタルコミックス市場規模の円換算に間違いがあり訂正させていただきました。 

ICv2  http://www.icv2.com/