アヌシー2011 新しい勢力、アジアの制作会社など

 ■ 短編アニメーションの役割

アヌシーの様子 © CITIA

 短編の多くは映画祭など非営利上映で世に知られることが多く、商業ベースに乗り難い。短編は新しい作家・監督が世に出るチャンスを与える。あるいは、プロデューサーなどアニメーション制作に携わる人材を育てる場となる。さらに、制作会社の自主企画の試金石にもなる。短編で市場性や制作力を確認した後に長編化され、テレビシリーズ化されたものは数多くある。

 フランスでは、CNCフランス映画・映像センターが制作助成金を拠出する。10年は、9本の新作に延べ61万ユーロ、作品当たり67,778ユーロが供与された。あるいは、仏ヴァランスのフォリマージュ(Folimage)は“レジデンスプログラム”で独立系作家に短編制作の場を提供してきた。
 イギリスでも、今年の米アカデミー賞短編アニメーション部門賞を受賞した『The Lost Thing』は、パッション・ピクチュアズ(Passion Pictures)(http://www.passion-pictures.com/)がオーストラリアスタジオのアンドリュー・ルーヘマン(Andrew Ruhemann)に制作を許し、原作者のショーン・タン(Shaun Tan)が共同監督となった。パッション・ピクチュアズの本領はCMやミュージックビデオなどの商業映像。同分野で人気の高いスタジオAKA(Studio AKA)(http://www.studioaka.co.uk/)も短編の自主制作を重視する。
 昨年のアヌシー最優秀テレビアニメ賞を受賞したフィリップ・ハント(Philip Hunt)の『Lost and Found』、マーク・クラスト(Marc Craste)が米アカデミー賞にノミネートされた『Varmints』など。独立系制作会社の自主企画短編は高い評価を得ている。
 本業に手一杯で、短編といえども自主企画には人手も資金も回らないというスタジオが多い中、「時間制約が厳しい受注制作だけでなく、アーティストには大きなカンバスが必要」という意識のスタジオAKA。古参では、アードマン・アニメーションズも所属アーティストの短編制作を後押しする。ピクサーなどのハリウッド大手スタジオは、より戦略的と言える。CGアニメーションではスタジオ独自の技術開発が必須で、短編が文字通り試金石となる。さらに、スタジオのPRにもなる。

 ヨーロッパでは、作家個人が自主資金で作る短編もあれば、スタジオが投資したり、国際合作の枠組みで生まれる短編もある。高等教育機関では専任スタッフを配し、学生に様々な制作体験をさせる環境を整えている。ヨーロッパアニメーション活況の源は、このような短編制作を支えるスピリットにあるのかも知れない。侮れない、短編。アヌシーの華は、やはり短編なのだろう。