アヌシー2011 新しい勢力、アジアの制作会社など

アヌシー2011 活況のヨーロッパアニメーション
日本アニメーションの正念場 

取材・文: 伊藤裕美、オフィスH

■ 新しい勢力、アジアの制作会社など

アヌシーの様子  © CITIA

 MIFAでは、韓国と中国の出展が定着した。韓国はソウルと光州がそれぞれ地域ブースを出展。中国も南京/蘇州/鎮江、上海が各1ブースを出した。両国は長編コンペにも新作をエントリーした。タイはキャラクターライセンス事業者のバイトインナカップ(Byte In A Cup)が単独で「The Salads」というキャラクターラインを出品した。

 欧米との制作が多く、実力を高めるインドは新たな発展期の入口に立ったようだ。注目の一つは、フランスのメソッド・アニメーション(Method Animation)と共同制作で、喜劇王チャーリー・チャップリンを立体視3Dで再生させる、インド最大手のDQエンタテインメント(DQ Entertainment)(http://www.dataquestinfoway.com/)。同社は欧米風アニメーションで欧米の競合制作会社あるいはパートナーと互角に競うほどになった。最新の自社企画『5 and It』はドイツのZDFと共同制作した。
 1999年設立のトゥーンズ・アニメーション(Toonz Animation)(http://www.toonzanimationindia.com/)は欧米の下請けスタジオから、自主企画を開発する制作会社へ脱皮中で、欧米の制作会社とはイコールパートナーとして、インド発アニメーションの世界進出を目指す。昨年はアルゼンチンのIllusion Studiosと共同制作した長編『Gaturro』が南米で良好な興行成績を残した。
 両社より規模は小さいものの、グリーンゴールド(Green Gold)(http://www.greengold.tv/)は、『Chhota Bheem』など自社で著作権を保有し、まずは自国のこども・ファミリー向けに成功する路線だ。その先は、インド風アニメーションで北米と戦略的なタイアップを強化し、世界進出を目指す。

 アヌシーの新顔はシンガポール。インフィニット・フレームワークス(Infinite Frameworks)制作の『Tatsumi(タツミ)』(エリック・クー(Eric Khoo)監督)が長編部門アウトオブコンペで上映された。シンガポールを代表するエリック・クーが、日本のマンガ家、辰巳ヨシヒロの作家人生を通して日本の戦後史をアニメーションで描いた。今年のカンヌ映画祭では、ある視点部門で上映された。また、02年に設立され、現在は東南アジアで最大規模のスタジオに成長したスクロール・スタジオズ(Scrawl Studios)は企画開発担当副社長を送り込んだ。

 コンペ短編部門では、ポーランド作品の受賞が目をひいた。新人賞に当たるジャンリュック・ジベラ賞の『Świteź/The Lost Town of Świteź』は、オスカー受賞作品スージー・テンプルトン(Suzie Templeton)監督の『Peter & the Wolf』にビジュアルエフェクト・スーパーバイザーとして参加した、エミル・ポラック(Kamil Polak)の初監督作品。ポーランド、フランス、カナダ、スイス、デンマークの国際合作で、映像美が光る短編映画に仕上がった。特別賞は、ダミアン・ネノウ(Damian Nenow)監督の『Paths Of Hate』は2機の戦闘機の空中戦の3DCGアニメーション。ティモシー・クエイとスティーヴン・クエイ(Timothy Quay、Stephen Quay)共同監督の『Mask』にはオリジナル音楽賞が贈られた。
 MIFAで出会ったオレンジ・タイガーベル(Orange-tigerbells)(http://orangetigerbells.com/index.html)は、20年の歴史を持つポーランドのORANGE Studio AnimacjiとインドのTigerBells Animationが合併した制作会社だ。ヨーロッパと北米に顧客を持ち、ポーランド、インドに加えフィリピンのスタジオで、2D、3DそしてFlashアニメーションを制作する。2Dアニメーションの穏やかな作風は、刺激的な色彩やアップテンポな昨今のアニメーションの中では、こども向けに残してほしいものだ。かつてのハンナ・バーベラ・プロダクションのポーランド国内スタジオの経営を任された、Grzegorz Handzlik社長は受注仕事のみでなく、自主企画の開発制作に意欲を示す。

エミル・ポラック監督 『Świteź/The Lost Town of Świteź』 © HUMAN ARK, SE-MA-FOR FILM PRODUCTION, TELEWIZJA POLSKA SA, PWSFTVIT - THE POLISH NATIONAL FILM, TELEVISION AND THEATRE SCHOOL, DENIS FRIEDMAN PRODUCTIONS, ONF, ARCHANGEL FILM GROUP, PARTYFLEX SYSTEM, ZELIONY POMID
 

短編アニメーションの役割へ続く