アヌシー2011 第2部 アニメーションとゲームの接近

アヌシー2011、活況のヨーロッパアニメーション 日本アニメーションの正念場

取材・文: 伊藤裕美、オフィスH

<第2部>

■ アニメーションとゲームの接近、トランスメディア的展開に注目集まる

 今年のアヌシーで注目を集めたのが、フランスのゲームデベロッパーAnkama(アンカマ)(http://www.ankama.com/fr)だ。10年前に北フランスのリールに設立された同社は、オンラインゲーム、アニメーション、音楽、コミックス出版といった形式の異なるメディアでヒット作を出し、フランスにおけるトランスメディアの勝ち組。
 アンカマの強みは、原作権を確保し、トランスメディアを自社戦略で展開することだ。全世界4,000万人ユーザを持つMMORPG「DOFUS(ドフス)」はテレビシリーズ(13分x52話)としても成功。同じ世界観でテレビシリーズ化(26分x13話)されているMMORPG「Wakfu(ワクフ)」の長編アニメーションを14年に公開すると、MIFAで発表した。映画テレビ担当上席副社長のエマニュエル・フランク氏によると、制作はフランス国内で行う。日本にある同社の子会社は「主にゲーム開発を担い」、今回の長編プロジェクトには参加しない。

アンカマ © CITIA.

 数年前までアヌシーの表舞台にゲームデベロッパーが登場することはなかったが、同じくフランス発祥で世界3位のUBISOFT(ユービーアイソフト)もすでに長編アニメーションの制作を発表しており、アニメーションとゲームの接近が顕著となった。
 この傾向は、3月にリヨンで開催された、ヨーロッパの長編企画のピッチ、Cartoon Movie(カートゥーン・ムーヴィ)でも注目された。ヨーロッパのアニメーション振興を目的とする非営利国際組織CARTOON(カートゥーン)(http://www.cartoon-media.eu/)は09年以来、アニメーションとゲーム両産業の橋渡しをしてきた。今年は、フランスとドイツから約30のゲームデベロッパーが参加し、トランスメディアを印象づけた。

 

© CITIA.

 フランスは地域的にも、アングレームを中心に南西フランスのポワントゥー・シャラント地域ではゲーム産業振興に力を入れている。アングレームはヨーロッパ最大のコミックス祭で名を馳せ、近年はアニメーションの制作拠点として成功している。ゲームの高等専門教育機関ENJIMIN(http://www.enjmin.fr/)での人材育成と企業支援などを通じて、6社の誘致、50名程度の雇用を創出している。
 02年にアングレームに制作スタジオを置いたOuat Entertainment(http://www.ouat-e.com/)はFacebookゲームで半年間に150万ユーザを獲得した。また、ENJIMIN卒業生が起業するなど、地域経済でもトランスメディアが重視される。
 フランスでは6月8日に、フランス、ルクセンブルグ、ベルギー、英国、カナダ合作、制作費約2,200万ユーロ(約26億円)の立体視3D映画『The Prodigies』(制作:Onyx Films、Fidélité Films、Luxanimation、Scope Pictures、Studio 37)(http://www.theprodigies-lefilm.com/)が公開された。アウトオブコンペでアヌシーでも上映された本作は、フランスのベストセラー作家ベルナール・レントリック(Bernard Lenteric)の「La Nuit des enfants rois」を原作に、Viconモーションキャプチャとキーフレームアニメーションを組み合わせたサイエンスフィクション・ファンタジー。当初実写撮影が検討されたが、最終的にゲーム向けアニメーション出身で34歳の新進監督アントワンヌ・シャレヨン(Antoine Charreyron)に委ねられた。
 アニメーションには、インドのDQエンタテインメント(DQ Entertainment)とフランスのアティチュド・スチュジオ(Attitude Studio)が参加した。フランス公開に続き、ワーナーが世界配給する。

成人市場へ広がる、ヨーロッパアニメーションへ続く