「ガンダムAGE」製作発表 バンダイナムコGが目指す総力戦

 6月13日、東京・品川のバンダイナムコ未来研究所 ファンシアターにて、2011年10月からテレビ放映を開始するガンダムシリーズの新作テレビシリーズ『機動戦士ガンダムAGE』制作発表会が行われた。『機動戦士ガンダム00』終了から2年半ぶりとなった完全新作シリーズは、多くのガンダムファンの待ち焦がれたものだ。
 姿を見せた『ガンダムAGE』は、多くの人に驚きを与えたに違いない。ひとつは、そのデザインから分かるように、コアターゲットの年齢を従来からかなり引き下げたことだ。(発表会場で配られたガイドブックには、全ての漢字、アルファベットにふりがながついていた!)
 もうひとつは、有力ゲームパブリッシャーとして知られるレベルファイブの日野晃博氏をストーリー/シリーズ構成に迎えたことだ。キッズ向けのゲーム「レイトン教授シリーズ」、『イナズマイレブン』、『ダンボール戦機』で成功した日野氏の存在も、『ガンダムAGE』がキッズ向け作品であることを示している。

 ビジネス面で注目されたのは、バンダイ上野和典代表取締役兼チーフガンダムオフィサー、サンライズ宮河恭夫専務取締役、バンダイナムコゲームス鵜之澤伸代表取締役副社長が揃って登壇したことだ。そこからはバンダイナムコグループが、『ガンダムAGE』にかける強い意気込みが読み取れる。
 制作発表会の時間の多くが、ガンプラをはじめとする玩具、ゲームソフト、特にガンダムシリーズ初となるRPGゲームソフトなどの戦略発表に費やされた。ガンダムが巨大なメディアミックスのブランドであることをあらためて感じさせた。また、それらの商品のほとんどは、10月のテレビ放送開始と同時にスタートする。まさに10月に向けたバンダイナムコグループの総力戦といった陣容だ。

 実際にこれらの関連商品には、これまでのバンダイナムコグループの成功体験が至るところに盛り込まれている。ガンプラは勿論、目玉となる玩具アイテムのひとつ「エイジデバイス」にはたまごっちシリーズの電子玩具の経験が盛り込まれているし、データカードダス、SDガンダムなどグループの有力コンテンツへの投入は既に決定済みだ。近年、基盤が揺らいでいたゲーム開発は、レベルファイブの協力で補完する。
 まさに全ての戦略が整ったうえでのスタートになる。そして、周到に準備し、考えぬかれた『ガンダムAGE』が、子供たちから大きな人気を獲得する可能性はかなり高いだろう。

 一方、こうしたなかで奇妙なことにアニメ作品自体としてのガンダムの存在感は、相対的に薄まったかたちだ。バンダイナムコグループの有力企業が参加した本プロジェクトだが、ここには映像分野の要であるバンダイビジュアルは姿を見せていない。また、玩具やゲームの戦略発表はあっても、DVD・Blu-ray Discの発売、番組配信の戦略は全く説明されていない。
 これまで新作ガンダムシリーズの発表は、アニメ雑誌やアニメ関連のイベントで行われることが多かった。しかし、今回は単独の発表会であり、かつ3日後から始まる東京おもちゃショーを見据えたものになっている。
 つまり、ここで明らかなのは、『ガンダムAGE』が目指すのは映像・アニメのビジネスでなく、玩具とゲームのビジネスなのである。これは映像パッケージビジネスが、昨今厳しさが増していることと無関係ではないだろう。TVガンダムシリーズほどの大型プロジェクトは、映像パッケージでなく、玩具とゲームを中心に据えなければ維持出来ないということなのかもしれない。

 逆に、作品の中核を玩具とゲームに据えたことで、今回の大胆なコアターゲットの年齢引き下げも可能になった。キッズ向けのアニメでは、通常はDVD・BDの売上げはそれほど多くは期待出来ないからだ。
 勿論、バンダイナムコグループにとって、ハイティーンから20代、さらに30代以上のガンダムファンはこれからも重要だ。しかし、そのターゲットをフォローするのは『機動戦士ガンダムUC』に代表される作品群で、それは日中のテレビでは放映はされない。アニメビジネスの構造が大きく変化する中、バンダイナムコグループが新ガンダムシリーズで出した結論は、子供回帰、玩具、ゲーム重視なのだ。
[数土直志]