米国3D市場を反映か RealD決算堅調も株価下落

 6月9日に3D上映システムの開発・ライセンス事業を手掛けるリアルD(RealD)が2011年3月期(2010年4月~2011年3月)の決算発表をした。同社は3D(立体視)映像分野の企業で、2010年7月にニューヨーク証券取引場に上場したばかりだ。映画『アバター』の大ヒットが注目される3D映像を代表する存在である。
 今回は上場後初の通期決算発表となるが、その内容から事業拡大が続いていることが分かる。通期売上高は2億4610万ドル前年比で64%増と急伸した。一方、利益面では依然赤字が続いている。前期5120万ドルあった純損失は1230万ドルまで縮まったが依然赤字だ。ライセンス事業の利益率は高いが、プロダクト部門のコストが収入を上回っているためである。

 売上げ拡大は3D映画関連市場の世界的広がりが、同社のビジネスを押し上げたためだ。とりわけライセンス収入の拡大が目立っている。プロダクト販売の売上げが1億4500万ドルと前年の33%の増加に留まったのに対して、ライセンス販売は1億150万ドルとおよそ2.5倍になった。
 これは国内外でリアルD方式のスクリーンを導入する映画館が増加したことが大きい。リアルDによれば、全世界でリアルD方式の3D映画が観られるスクリーン数は2011年3月末時点でおよそ1万5000である。これは2010年3月末5300スクリーンのおよそ2.8倍にあたる。

 一方で、2011年3月期第4四半期単独では、売上げは伸び悩んだ。売上高は前年同期の5億5400万ドルから5.4%増の5億8500万ドルである。利益面では前年同期の2100万ドルの純損失から450万ドルの黒字に転じたが、一ケタ台の売上げの伸びは投資家には不十分と映ったようだ。決算発表後のリアルDの株式はニューヨーク市場で下落、決算発表前の24ドル付近から週末終値は20ドル90セントになった。
 同社の株価は上場直後に19ドル51セントでスタート、昨年末から上昇トレンドに入り本年5月半ばには35ドルにまで達した。しかし、その後株価は下落基調を強めており、第4四半期単独の黒字化もそうした流れを覆せなかった。

 こうした状況はリアルD単独の問題でなく、米国の3D映画全体の状況を反映したものとも言えそうだ。映画『アバター』の大ヒット以来拡大を続けて来た3D映画だが、ここに来てやや変化の兆しが見えるからだ。直近に公開されたふたつの大作3D映画、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』、『カンフーパンダ2』の映画興収に占める3D上映版の割合がこれまでの作品に較べ急低下している。
 これが一時的なものなのか、作品個別の問題なのか、それとも観客に3D映画に対する飽きが来たのかは、現時点では分からない。しかし、映画業界、投資家が3D映画の見通しに慎重になっており、それがリアルDの株価に反映している。
 映画界では6月以降もCGアニメーション『カーズ2』、『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2』、『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』、『コナン・ザ・バーバリアン』など有力3D映画が目白押しだ。こうした映画の行方と同時に、リアルDの株価も3D映画の行方を見極めるうえで注目される。

リアルD(RealD) http://www.reald.com/