「テレ東とNAS 『遊戯王』米国ライセンス停止 4キッズの不正取引を理由」と米国業界誌報道

 3月29日、米国のエンタテイメント業界情報有力誌ハリウッド・レポーター(The Hollywood Reporter:THR)ウェブ版は、テレビ東京と日本アドシステムズ(NAS)が4キッズ・エンタテインメント(4Kids Entertainment)とのアニメ『遊戯王』シリーズの米国ライセンス契約を打ち切ったと報道した。
 4キッズ・エンタテインメントは過去10年以上にわたり、テレビ東京やNASなどの日本のライセンサーから北米を含む同作の世界ライセンスを獲得していた。この件について、4キッズ及び、テレビ東京、NASによる発表は現在行なわれていない。

 THRは今回のテレビ東京とNASの決定は、両社が4キッズが裏契約や経費操作によりロイヤリティーの売上高を操作し報告していたことを確認したためだという。4キッズの両社へのロイヤリティー支払いが、本来の金額より大幅に少なかったことになる。
 さらに具体的な不正行為として、ファニメーションプロダクション( Funimation Productions)との契約による映像パッケージの売上高の45%以上を未報告とし、さらにゲーム会社マジャスコセール(Majesco Sales Inc)との取引や経費の支払いについて不正な報告があったとTHRは説明する。また、THRは両サイドは和解を目指したが合意に至らず、今回ライセンス契約を打ち切り、さらにテレビ東京とNASはニューヨークの裁判所に提訴も行なったと伝える。

 4キッズ・エンタテインメントは、1990年代後半から2000年代前半にかけて、日本からライセンスを獲得した『遊戯王』シリーズと『ポケットモンスター』の世界展開で急成長した。地上波テレビの週末午前中の放映枠を4時間から5時間まるまる買い取るなどの積極的なビジネス展開もあり、かつては日本アニメに関係する最も有力な米国企業のひとつだった。
 しかし、2005年に『ポケットモンスター』のライセンス契約が終了し、さらに多額の投資を行なったオリジナルコンテンツ『Chaotic』が失敗した。近年は急激に業績を悪化させていた。その中で『遊戯王』は、同社の経営を支えるタイトルになっており、2011年からは劇場映画も含めた積極的なプロモーションがスタートしている。もしライセンスが打ち切られれば、経営への影響は避けられない。同社のCEOを長年務めてきたアルフレッド・カーン氏は今年1月に同職から退任している

 一方、テレビ東京にとっては、『遊戯王』シリーズは同社のアニメ事業の有力タイトルである。2010年3月期決算では、61億5000万円にのぼる権利収入のうち売上げの大きかったタイトルのベスト3に挙げている。日本の広告代理店アサツーDKのアニメ事業子会社であるNASにとっても、同様にコアタイトルのひとつになっている。もし、『遊戯王』の海外ビジネスの展開が中断すれば、両社へのダメージも少なくない。
 現在情報として伝わっているのは、THRの報道だけであり、詳細は不明だ。4キッズ・エンタテインメント、テレビ東京、NASなどの情報公開を望みたいところだ。

ハリウッド・レポーター(The Hollywood Reporter:THR)の記事
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http://www.hollywoodreporter.com/thr-esq/yu-gi-creator-terminates-us-172273