増加するアニメ・映画向けの銀行融資

 10月25日付の日経金融新聞が1面で「銀行マネーで超大作!? アニメ・映画投融資100件に」とのタイトルで特集している。その中で拡大するアニメや映画向けの大手銀行の取り組みを紹介している。記事の内容は、最近報道された幾つかのコンテンツ向けの投融資の案件紹介とその背景である。
 この記事の中で、。また、大手銀行によるアニメを中心とする映像向けの投融資が100作品に迫っているとしているとしている具体的な例として、角川映画とみずほ銀行が出資する映画ファンド、UFJ銀行がビートたけし主演の新作映画に無担保融資する案件、日本政策投資銀行と東京三菱銀行、UFJ銀行、ゴンゾが共同で設立する特別目的会社(SPC)を利用した融資の案件などを紹介している。

 大手銀行がコンテンツ融資に力をいれる背景には、従来の大企業向けの融資が近年の直接金融への傾斜のため市場からの直接の資本調達に変り、銀行融資からの資金需要が減っていることや中小企業向けの融資の拡大にも限界があり、銀行側は貸出先不足という問題点を抱えていることにある。いっぽうで、アニメを代表とするコンテンツ制作には相当な期間と資金が制作前に必要となり、回収までに時間がかかる傾向にある。貸し手側の銀行と借りて側の制作会社のニーズは一致していた。
 それにも関わらず、これまでコンテンツ制作に銀行融資が活発でなかったのは、不動産担保が中心の日本の金融業界において、権利は持っていても実体資産の少ない制作会社への融資条件が成立し難かったためである。また、従来の製作投資で多用されたた製作委員会方式には業界独自の慣習が多く、業界の外の金融機関は入り難かったこともあった。
 近年、コンテンツ制作への融資・投資が増えてきた背景には、将来見込まれる収益を知的財産権として活用出来るとの認識が高まり、このための法的枠組みや社会の仕組みが整ってきたためだ。また、金融機関側でもアニメ・映画業界の仕組みを理解し、リスク管理を行いながら投融資が出来る様々な仕組みを開発する努力が行われて来た。

 そうは言っても、コンテンツ制作への融資・投資は、いまだ産業の初期段階にある。現在、行われている様々な投融資の結果は数年後に現れて来るだろう。その結果が、今後の道筋を左右するに違いない。もし、制作者、金融機関双方にとって意味のある仕組みを構築出来れば、近い将来は大規模な投融資案件を活用し、より多くの優れたアニメ作品を観ることが出来るようになるだろう。