伊藤忠とワーナー アニメ制作で提携

 1月31日の日本経済新聞の報道によると、大手商社の伊藤忠とタイム・ワーナー系で米国にある放送会社ターナーブロードキャスティングは、日本でアニメの共同製作を行なう。共同製作は、両社を中心に30億円規模のアニメファンドを設立したうえで、複数の作品製作を手掛ける。また、日米での同時放映を予定している。
 記事によると、ファンドは6月までに放映会社や玩具会社の出資も含めて設立される。そのうえで、通常より多い制作予算の1話あたり2千万円程度で3作品を制作する。その結果を踏まえて作品数を増やしていく方針である。作品は、日本では民放、米国ではワーナー系のカートゥーン・ネッワークで放映を予定している。

 今回の伊藤忠とワーナーの提携は、興味深い点が幾つかある。1点目は、商社とアニメという取り合わせである。これまで、日本の商社の中でアニメビジネスにおいて実績を残しているのは、三菱商事系のデイーライツのみである。商社とアニメという組合せは、テレビ局や広告代理店とアニメの組合せに較べて一般的に意外感が大きい。しかし、海外に拠点を持たない企業に代わり、情報網と流通網を利用することで多くの国に製品を輸出するのは元来商社の最も得意とするビジネスである。世界各国に輸出されるアニメを扱い、比較的企業規模の小さい会社の多いアニメ産業と商社の組合せは馴染みがいいはずだ。
 これまで、商社の扱いが小さかったのは、アニメが大きなビジネスと思われなかったためであろう。しかし、2次利用権の展開を視野に入れたアニメビジネスはその大きさが計り知れない。日本独特ともいえる商社の機能がアニメビジネスでも生かされるのかは気になるところだ。
 また、ワーナーと手を組むことで最初からカートゥーン・ネッワークといった放映チャネル確保している点も興味深い。近年、日本アニメの輸出指向の高まりに対して、米国での放映枠は広がっていないため放映枠を巡って日本企業間での厳しい競争が起こっている。メディアミックスを考えるなら大手放映局での放映は必須である。ワーナーと直接に手を組み、放映チャネルを確保することでアニメ製作のリスクを大幅に少なくすることが可能になる。

 しかし、ネガティブな要素もある。それは、制作される作品が日米のマーケットを最初から狙っていることだ。一見、日本と米国の双方に最初から放映チャネルを確保していることは製作費の回収にとって有利に見える。しかし、問題は作品の内容はどうするかである。つまり、最初から米国を意識して作ることで作品から日本アニメのテーストが奪われる可能性があるからだ。日本と米国の両方の市場を意識することで、どちらつかずのアニメとなり、どちらの国でも支持をされないという危険性はかなり高い。それは、米国市場を意識して制作された平成版『鉄腕アトム』がいずれの国でも人気を得られなかった事実からも考えられる。制作にあたっては、互いで妥協することなく、どちらが主導権を持つか明確にする必要があるだろう。