米国マンガ出版デルレイとCN 「爆丸」のマンガを米国で制作・出版

 米国の有力マンガ出版社であるデルレイ(Del Ray)が、11月25日に日本アニメ『爆丸 バトルブローラーズ』のマンガ版を発売する。人気のアニメを原作に、マンガを制作、出版することは日本では珍しくない。しかし、『爆丸』は日本国内ではマンガ化されておらず、単行本の出版もない。今回発売されるのは、日本のアニメを原作とする米国オリジナルのマンガになる。
 デルレイのマンガ部門は最近まで、日本マンガの翻訳出版を中心としてきた。過去2、3年で米国のマンガ業界でトレンドとなっていた米国産マンガや韓国のマンガの出版に消極的な出版社である。しかし、今回の『爆丸』の出版では、デルレイが日本マンガ以外の出版に積極取り組み始めていることを印象づける。

 デルレイは『爆丸』をマンガとして売り出しているが、日本のマンガとかなり異なった特長も随所にみられる。キャラクターデザインはテレビに基づいており、内容も解説を読む限りではアニメを踏襲したもののようだ。 
 さらに通常のマンガ出版と異なるのは、原作者や原画担当が名前をクレジットされる作家の欄がカートゥーンネットワーク(CN)となっている点である。つまり作品は米国のコミックスのように、出版社などが米国のクリエイターと契約し、権利買切るかたちとみられる。

 また、作家がCNとなるのは、『爆丸 バトルブローラーズ』が複雑な共同製作のかたちを取っているためである。
 『爆丸』は2007年に、トムス・エンタテインメント、ジャパンヴィステック、セガ、セガトイズ、スピン・マスター、コーラス・エンタテインメントの日本とカナダ6社で共同製作(製作委員会方式)されている。日本とカナダで先行放映され、特にカナダで大きなヒットとなった。
 その後、米国展開する際に、CNがパートナーに選ばれた。この際にカートゥーンネットワークは放映権だけでなく、商品化権なども含めたマスターライセンスを獲得している。CNが自社以外で製作した番組のライセンス展開を行う初めてのケースとなる。

 CNは既に『爆丸』のDVDも発売しているが、アニメの展開に不可分のマンガ展開を行うためにマンガ出版に実績があるデルレイとの提携を選択した。
 デルレイは『爆丸』のほかにも、既にアニメスタイルとされる米国のカートゥーン『ベン10』のマンガ出版も決めている。こちらも、グラフィックノベルではなく、敢えてマンガにカテゴリー分けがされている。
 一方ではデルレイが日本以外のコンテンツへ進出し、もう一方ではCNが日本型のアニメーションとマンガ、キャラクター展開をメディアミックスするビジネスを本格的に進めつつある。現在の米国のアニメ・マンガビジネスの新しい流れを象徴している。

 新しい流れという点では、デルレイが日本マンガ重視から、他のコンテンツへの進出を決めたきっかとなった講談社の動きもある。
 もともとデルレイは親会社ランダムハウスと講談社のつながりから、講談社系のマンガを優先的に扱ってきた。しかし、今年6月に同社は、これまでの米国出版社へのライセンス出版だけでなく、米国で自社が直接出版を行うと発表した。
 デルレイは将来的に日本マンガの作品供給が細ると考え、CNと手を組んだわけである。CNはアニメやアニメスタイルのアニメーションのテレビ放映の有力企業で、新たな強者連合が誕生することになった。

 しかし、新たな方針を打ち出したはずの講談社の動きが、現在見られない。当初の発表では、9月に自社による最初のタイトルを出版するとしていた。しかし、既に11月も終わりだが、同社によるマンガ出版はなく、リリースの予定も明らかになっていない。
 リテールビジネスとなれば、ファンに向けた情報告知のための公式サイトは不可欠だが、KODANSHA USA, INC.やKODANSHA USA PUBLISHING, LLCの公式サイトはオープンしていない。控えめに見ても講談社が当初考えていた米国での出版戦略は、予定よりかなり遅れている。

 講談社系のマンガ出版は依然デルレイで発売が続いており、新刊も『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』や『School Rumble』、『のだめカンタービレ』と目白押しだ。
 このためデルレイは少なくとも現状では、従来どおり講談社の人気マンガを発売する一方で、カートゥーンネットワークとの提携による有望市場に乗り出しつつある。

デルレイ(Del Ray) http://www.randomhouse.com/delrey/manga/