講談社 米国でマンガ出版事業開始 直接事業進出へ

 7月1日の日本経済新聞によれば、講談社は北米のマンガ事業を行う米国法人講談社USAを設立した。
 報道では、講談社が資本金200万ドルを全額出資し、本社をニューヨーク州に置く。社長には講談社の野間省伸副社長が就任する。出版子会社も同時に設立し、今年9月からマンガ単行本の出版と販売を開始する。

 講談社の米国現地法人設立は、これまでの同社の北米事業戦略の大きな方針転換となる。講談社作品の北米ビジネス展開は、現在までは現地の出版社に出版ライセンスを販売し、そのなかからライセンス収入を得る方法が取られている。
 現地の複数の出版社、特にランダムハウスのマンガ出版部門子会社であるデル・レイに多くの作品ライセンスが販売されている。
 ライセンス販売はリスクが少なく確実な収入となるが、作品の売上が拡大した場合の利益の多くは現地出版社に入り、講談社自身には大きな利益拡大が望めない。今回の講談社の動きは、現地での出版というリスクを取ることで、利益の拡大を目指すものとなる。

 また、講談社の方針転換の理由のひとつには、国内でマンガ出版のライバル企業である小学館、集英社の北米事業の成功にも触発された面もあるとみられる。小学館と集英社、それに小学館プロダクションは、共同出資の北米子会社VIZメディアを設立し、直接事業を行っている。
 VIZメディアは北米マンガ市場の拡大に合わせて事業を拡大し、既に売上高100億円規模の企業に成長している。VIZメディアの直接事業の成功が、講談社の米国進出を促したと見て間違いないだろう。

 講談社にとっては、今回の決断は利益拡大のチャンスになるとみられる。しかし、これまで講談社からライセンスを獲得してきた現地出版社は、今後ライセンスの獲得が難しくなり厳しい状況となりそうだ。
 特にデル・レイはその出版物のほとんどが日本マンガ、しかも講談社の作品であったため、今後何らかの大きな方向転換が必要となるに違いない。

 米国マンガ出版社はマンガ市場の開拓者とみなされているTokyopopの力に陰りが見られる。一方でVIZメディアの市場シェア拡大が目立つ。これまで講談社系とみなされてきたデル・レイは出版点数が少なく、人気作品はあるが市場シェアは大きくない。
 破竹の勢いで成長してきた北米市場も安定成長に変わりつつある。講談社の直接進出で、今後こうした競争状況がどのように変わるのかが注目である。

講談社 http://www.kodansha.co.jp/