ランダムハウスの北米マンガ出版事業 講談社USA引継ぎ

 北米の日本マンガの翻訳出版で存在感を持ってきたデルレイ(DelRey)が、日本マンガから撤退する。これまでデルレイが行ってきたマンガタイトルの発売は、2010年12月1日以降順次、講談社の米国現地法人講談社USAパブリッシングが引き継ぐ。講談社とデルレイの親会社であるランダムハウスが明らかにした。
 2003年に結ばれた講談社とランダムハウスのマンガのライセンス出版による提携は、新たに講談社の発売するマンガの流通・販売の提携に変更される。有力出版社のマンガ業務からの撤退と日系現地法人への事業移管は、日米のマンガ関係者から関心を集めそうだ。

 2003年の事業提携以来、デルレイは講談社の有力タイトルの翻訳出版を行ってきた。同社の発売タイトルには、『xxxHOLiC』や『魔法先生ネギま!』、『エア・ギア』などの人気作品も数多く、その数はおよそ500巻に及ぶ。デルレイは北米マンガ出版で、長年VIZメディア、Tokyopopの二大出版社に次ぐ位置を占め、有力出版社のひとつとみなされてきた。
 一方、講談社USAパブリッシングは、2008年に講談社の海外事業強化、北米のマンガ出版事業を直接行うため設立された。これまでに大友克洋さんの『AKIRA』や士郎正宗さんの『攻殻機動隊』などの発売を行っているが、その出版活動はあまり活発でなかった。そうした理由のひとつが、同社の持つ人気タイトル、有力タイトルの多くが、既にデルレイをはじめとする現地の出版社から発売されていたためである。
 今回の両社の決定により、講談社の現地法人による直接出版と現地出版社へのライセンス提供による翻訳出版が並行する北米マンガ事業はよりシンプルに変わる。ランダムハウスは引き続きランダムハウス・パブリッシャーズサービスを通じて講談社をサポートするほか、またデルレイも講談社の出版に協力する。

 今回の決定は講談社にとっては、北米でのマンガ出版事業を拡大する足掛かりとなりそうだ。北米では既に小学館、集英社系の現地法人VIZメディアが大きな成功をし、現地日本マンガ翻訳出版の過半数のシェアを握り存在感が大きい。講談社は現地の直接進出では後塵を拝してきた、こうした状況を変える可能性もある。
 一方、講談社に有力タイトルの出版・発売を譲り渡すかたちになったデルレイだが、ランダムハウスにとっても今回の決定は必ずしも不利なものでないかもしれない。北米市場での日本マンガ翻訳出版が、ここ数年停滞しているためである。今年夏にはDCコミックス系列のCMXがマンガ出版から撤退を明らかにしたほか、宙出版系のオーロラパブリッシングも事業を打ち切るなど、北米でマンガ出版事業を止める例が増えている。成長期待が低くなる一方で、事業リスクが増している翻訳マンガ事業は、市場の1割程度のシェアであったデルレイにとって潮時だったかもしれない。他方で講談社からの流通部門請負は、確実に利益が出るビジネスだからだ。

講談社 http://www.kodansha.co.jp/
ランダムハウス http://www.randomhouse.com/
デルレイ http://graphic-novels-manga.suvudu.com/