「最初に触れる映像ソフトにしてほしい」無料映像ソフトDaVinci Resolve 15の威力

2018年9月24日、秋葉原UDXにて、デジタル技術とアニメ制作に関するイベント『あにつく2018』がToo主催にて開催された。
今回は「統合型編集合成アプリケーションを利用した非破壊ワークフローと、制作管理支援の破壊的改善の可能性 – for adobe users-」と題されたセミナーの模様をお届けする。

講師を務めたのはグラフィニカの映像演出家・堀内隆氏と映像編集ソフト「DaVinci Resolve 15」の発売元であるBlackmagic Design社のテクニカルサポートマネージャー、岡野太郎氏の2名。
グラフィニカは様々なアニメ作品の制作・撮影・編集・3DCGを担う映像スタジオで、近年では『ヲタクに恋は難しい』のオープニングなどを手がけている(堀内氏OP監督を担当)。


堀内氏によると、既存の映像編集ソフトウェアは3D空間の概念がないこと、プラグインが不可欠であること、レイヤーベースであることなどによる限界や、連番が使いにくい、またサブスクリプションモデルであることによる定期的なコスト発生など、様々な点で使いづらさを感じていたという。

一方、DaVinci Resolveは元々カラーコレクション(色彩補正)システムとして開発されたソフトウェアだが、徐々に機能を追加し、最新のバージョンであるDaVinci Resolve 15では撮影以降の作業がほぼ単一ソフト内で行える“ワンストップ・ソリューション=統合型編集合成アプリケーション”となったのだという。


加えて、Windows、iOS、LinuxなどOSを選ばず使えるマルチOSであることや、無償版でも十分な性能を持つこと、有償版でも安価(33,980円)なうえに買い切りモデルであることなどが利点として挙げられた。
また、300もの映像ファイル形式に対応し「単に動画再生の際に使用する目的だけでも導入するメリットがある」と岡野氏は語る。

実際のアニメ制作においては、1つのアニメ映像を作るためにも莫大な数のデータが発生するためサーバーの階層は極めて多重化し、フォルダ移動とデータの管理だけでも結構な手間がかかるのが現状だという。
一方DaVinci Resolve 15ではソフト内で仮想的にファイルの移動や名前の変更、タグの設定などが可能であり、元のデータに変更を加えることなく作業データを整理・移動して使うことができる。

ラッシュチェックでは、これまでは音のついていない状態の映像をカット毎に個々に確認するのが常だった。
映像が完成しないと音を入れるという次のステップに進めないからだが、DaVinci Resolve 15は1つのデータに複数人が同時に作業できるため、音をつけてしまった映像も同時並行的に修正することが可能だという。また新旧のデータのタイムラインを比較することも容易だ。
無償なので全員同じソフトウェアを使うことができること自体も長所であり、加えて3DCGとの連携機能も既存ソフトウェアよりも親和性が高いという。


既に堀内氏は作業をDaVinci Resolve 15に置き換えているということだが、懸念点として「多くの作業が既存ソフトウェアからDaVinci Resolve 15に置き換えられてしまうため、導入した場合ワークフローの見直しは必須である」ことを挙げた。

まさに理想的と思える映像ソフトだが、何故そのようなソフトウェアが無料なのだろうか? 岡野氏によると、Blackmagic Designの創始者が若い頃はプロ用の映像システムは非常に高価で若いうちは触らせてもらえず、その時の思いからDaVinci Resolveを無償で提供しているのだという。
岡野氏は「そのため、無償なのは今の代表が現役のうちだけかもしれませんので導入はお早めに」と会場の笑いを誘った。

DaVinci Resolve15がプロの現場での仕様に耐えるソフトウェアであるとして、個人の映像クリエイターの利用にも対応しているのだろうか? 岡野氏に質問したところ「無償で日本語化もされており、個人の方にも導入しやすいと思います。ぜひ触れてみてください」とのことだ。
堀内氏は「これから映像を始める若い方にも、ぜひ最初に触れる映像ソフトに選んでほしい」とセミナーを締めくくった。

あにつく
https://www.too.com/atsuc/

DaVinci Resolve 15 – Blackmagic Design
https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve/