アニメの世界に入れるようになる!? “アニメネイチャー”時代のアニメ制作スタイルとは?

9月24日、秋葉原UDXにて、デジタル技術とアニメ制作に関するイベント「あにつく2018」が、Too主催にて開催された。その中で行われたセミナー「『アニメネイチャー』の社会におけるAnImeとの付き合い方」について、その模様をお届けする。

セミナー講師を担当したのは、デジタル技術を中心にアニメ制作を行うトワフロのプロデューサー・迫田祐樹氏と、同氏も所属するVR技術や3DCGでアニメ制作を行うユニット・エクスペリメントラボにてCG監督を務めるりょーちも氏。
ふたりはスクウェア・エニックスより配信中のスマートフォンゲーム『スターオーシャン:アナムネシス-TwinEclipse-』のPVやゲーム内ムービーなどの映像を制作したタッグだ。

エクスペリメントラボでは「アニメが日常的にごく普通に存在し、楽しまれるものになっている状態に対して、制作者側が自由度に対応しきれていない状態」をアニメネイチャーと定義し、送り手と受け手との間のデジタル・ディバイドを埋めることで、より楽しまれやすいコンテンツが生み出せるのでは、と提起した。


その一例として、アニメ制作の過程で生まれる背景などの3Dアセットを流用し、視聴者が作品世界内に入り込むことができる“インタラクティブムービー”というコンテンツの可能性を提示した。
このようなコンテンツはディズニーのVR短編映画『Cycles』や、Googleの没入型インタラクティブムービープラットフォーム「Google Spotlight Stories」など、既にサービスが開始されている。
迫田氏はトワフロでの実例として同社で制作中の長編アニメ『クラユカバ』の制作風景を紹介した。


同作では3DCGで制作した背景に2Dのキャラクターを配置しアニメーションさせることで映像制作を行っているが、その配置やカメラ設定はVR技術を活用しているという。
ヘッドマウントディスプレイを装着し両手に持ったコントローラーで作品世界の内部から映像を作っていくという、VRゲームのプレイさながらの制作風景がPVにて紹介された。



アニメをこのような形で制作することで、例えば作中の舞台となった場所に3DCG空間で実際に足を運ぶ、その場所から登場人物が見たであろう風景を楽しむなど、将来的にはアニメの作品世界そのものに没入しながら物語を楽しむというインタラクティブな楽しみ方を提供できるようになるという。

続くりょーちも氏のパートは制作側のデジタルツールの利用についての講演となった。
無料3DCG制作ソフト・Blenderをアニメ制作に導入することで得られるメリットについて、同ソフトで制作された『スターオーシャン:アナムネシス-TwinEclipse-』のPVや作中ムービーの制作過程を例にして述べた。


立体感のある映像には遠近法に則ったレイアウトが不可欠だが、3DCG内でカメラや2Dのキャラクター画像、3DCGオブジェクトなどを配置することで、より直感的にレイアウトを理解することができる。
下図ではイメージボードからキャラクターを2D画像、脱出ポッドを3DCGで制作し、3DCG空間内でレイアウトを設計している。



また、一般的に遠近法に則った背景は消失点とそこから放射状に伸びる直線(消失線)にて構成されるが、3DCGを用いることで消失線は本来直線ではなくカメラ位置を中心とした曲線であることが理解できる、という。
下図は背景ラフと、それをカメラ位置を中心に見渡せるよう球状に展開した3D画面だ。




また、Blenderは2D作画にも対応しており、直接作画ができる他、拡大した際の線もガタつくことなく先のタッチのニュアンスが表現できる。
2Dと3D、静止画と映像、全てに対応可能なため、コンテから仕上げまで、アニメ制作のかなりの部分をBlenderに置き換えることが可能だという。


また、タスク管理ツール「Trello」を用いたアニメ制作の工程管理についても紹介された。
現在主にExcelで行われている工程管理をTrelloに移行することで、ブラウザ上で進行状況を可視化できるようになり、プロジェクトの性質や作品の尺に合わせたスムーズな管理ができるようになるという。

あにつく
https://www.too.com/atsuc/