電子書籍で熱いブックフェア マンガは電子化支援に注目

 今年で17回目を迎える東京国際ブックフェアが、7月8日から11日まで東京ビッグサイトで開催された。例年大きな盛り上がりを見せるブックフェアであるが、今年の夏の盛り上がりはこれまで以上と言っていいだろう。それは出展社数にも表れており、世界30ヶ国から過去最高の1000社以上が参加している。
 出版市場全体の縮小が続く中でのこの活気は、アップルのiPadやアマゾンのKindleの発売で電子書籍がにわかに活気づき、注目が集まったためである。実際に人出のかなりの部分は、Google、セルシス/ボイジャー、大日本印刷、凸版印刷などが出展する電子書籍を大きく打ち出したデジタル パブリッシングフェアのエリアに集中していた。

 一方、一般書籍エリアは、人は多いがいつもの年とほぼ同じとの印象を受けた。いつもの年と同じという点では、マンガ出版の存在感が薄いのも同様だ。マンガ書籍の出展は、集英社、角川グループパブリッシング、そして手塚プロダクションなど数社に過ぎない。出版市場におけるマンガ出版の割合を考えれば、その存在はあまりにも小さい。
 もともと国際見本市は新たなビジネスパートナーを探す場であることから、既に海外主要市場で固定したビジネスパートナーを持つ大手マンガ出版社にとって見本市の意義は薄いのかもしれない。あるいは、東京国際ブックフェアのバイヤーとマンガ出版のバイヤーは必ずしも一致しない、海外のブックフェアのほうがよりビジネスの場として成立しているということだろうか。

 しかし、そうした中でマンガが大きく注目されていたのが、先の電子書籍・デジタルパブリツシングの分野である。新たなデバイスが登場注目されているとは言え、実際の電子書籍の市場の大半は携帯電話機を利用したマンガの閲覧である。ビジネスが、それに無縁であるはずがない。自らの技術を誇る際にコンテンツとしてマンガが利用するケースはしばしば見られた。
 実際に、数少ないマンガ分野からの出展であった集英社のマンガコーナーの目玉はデジタルコンテンツの「集英社マンガカプセル」であるし、手塚プロダクションも電子デバイスによるマンガを大きく打ち出している。国際ブックフェアは、今後電子書籍という切り口で、マンガとの関りを強める可能性は高そうだ。

 また、新市場であるがゆえに、ビジネスモデルが固定している書籍より、中小企業がマンガビジネスに参入しやすいことも理由のひとつだ。今回はデジタルデバイスを利用した3Dコミックスやマンガの電子書籍化などの新サービスがいくつも見られた。
 マンガ作家や小規模な出版社が独自にマンガを海外翻訳、デジタル化、流通するシステムも複数出展されていた。日本の同人誌文化、Googleやアマゾンの目指す作家と直接契約のビジネスモデル、海外での日本マンガの人気、そうした様々な現象が重なって、こうした分野に関心が集まるようだ。
 一方で、電子書籍化のサポート事業は、すでに新市場特有の過当競争、企業乱立に突入している。そして、まだ実績が少ないだけに、実際に作家や企業がサービスを選ぶ際は、何を基準に判断すればいいのか難しいといった問題もありそうだ。 

東京国際ブックフェア http://www.bookfair.jp/