成功のカギは“担当者の愛” 「アニメ」を使ったライセンスビジネスに必要な基礎知識を解説


アニメ産業において、ライセンスビジネスの重要性は言うまでもない。作品をただ供給するだけでなく、グッズやイベントなどの二次的展開で、いかにビジネスを拡大させるか。アニメは「人気キャラクターのグッズを作って販売したい」「ブランド力を高めるために自社商品とコラボしてほしい」など、企業からも高い関心が寄せられている。
だが、新規参入を試みる企業の中には「どうやって商品化するの?」「ロイヤリティの相場は?」「売れる商品のポイントは?」など、様々な疑問があるに違いない。

3月24日(土)、東京ビッグサイトで行われたAnimeJapan 2018にて「アニメビジネス入門:ライセンスの基本の『キ』」と題した講義が実施。キャラクター・データバンク代表の陸川和男氏と、タツノコプロで国内ライセンス担当を務める角田駿之介氏が、ライセンスビジネスの基本的知識や事例を紹介した。

一般的にライセンスとは「許諾する」という意味で、「保有する知的財産権を第三者に対して許諾するビジネス」のことを指している。アニメ産業ならコンテンツなどの著作権や商標権を中心とした権利ビジネスという解釈だ。


国際ライセンス産業によれば、2016年の世界のライセンス小売市場はトータルでおよそ2628億ドルと言われているが、そのうちの45%をキャラクターが占めている。市場規模を見てもライセンスビジネスの重要性がうかがい知れる。

陸川氏はさらにライセンスビジネスに関する基礎用語を紹介。プロパティ(ライセンス対象となる著作物や商標など)やロイヤリティ(プロパティの使用料)、アプルーバル(商品化にあたって監修、承認を得ること)などのワードを解説した。


キャラクタービジネスの基本構造では、ライセンサー(プロパティ所有者)、ライセンシー(プロパティを使って商品化する者)、消費者による関係性について、図を見せながら紹介。

一般的にアニメ産業では、ライセンサーは原作者や出版社、あるいは製作委員会のことであり、ライセンシーはロイヤリティを支払って、監修を受けながら作った商品・サービスを、消費者へ供給する流れになる。


講義ではさらに商品化までの流れやライセンス契約の内容、監修までの流れなども語られた。






続いてトークは、タツノコプロの角田にバトンタッチ。実際に『プリパラ』と『KING OF PRISM』という同社の人気シリーズを事例に、「子供向け」と「ハイターゲット向け」のタイトルによって、ライセンスビジネスのアプローチにどんな違いがあるのかを解説していった。


角田氏はそのポイントを大きく5つ、「売り場」「商品の種類」「商品の絵柄・バリエーション」「デザイン」「価格」に分けて説明する。たとえば「売り場」の場合、子ども向けの商品はいわゆるGMS(総合スーパー)を主体に展開されるが、ハイターゲット向けはアニメグッズ専門店や通販サイトなどが中心になる。
また、「絵柄・バリエーション」では、子供向けグッズはアニメのキービジュアルなどを複数のジャンルで使い回すケースが多いことに対して、ハイターゲット向けは逆に描き下ろしイラストなどで差別化を図るケースが多い。このあたりの違いは、おそらく読者も実際に売り場を見て感じている部分が大きいと思われる。

講義ではタツノコプロの事例について、陸川氏から角田氏に質問も寄せられた。たとえば「デザイン監修にどのくらい時間がかかるか」では、コンテンツ権利の保有状態はもちろん、その監修内容で大きく変わってくるのだという。
特に焦点になるのは該当するコンテンツにどれだけアレンジを加えているか。場合によってはアニメのプロデューサーにチェックを依頼する場合があるので、数週間から1ヵ月もかかるケースがあるそうだ。また、MG(ミニマムギャランティ)については作品によって異なるため答えづらいが、ロイヤリティに関しては業界的に5~10%が相場だという。

最後に、実際に売れる商品のポイントについて角田氏は、「明暗を分けているのはやっぱり担当者の愛があるかどうか。特にハイターゲット向けは顕著で、作品に対する理解と情熱を持ってきちんと差別化された商品は、結果的にユーザーから受け入れられる」という。
至極当然な理由ではあるものの、今後ライセンスビジネスに乗り出したいと考えている人は、しっかりと念頭に入れておくべきだろう。
[小松良介]