これからのアニメ業界を担う演出家・プロデューサーになるには…「NUNOANI塾」布川郁司塾長×卒業生インタビュー

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日本のアニメーション業界を代表するアニメーションスタジオのスタジオぴえろ。その創設者でもある布川郁司氏が近年私塾を開き、後進の育成に注力しているのはご存じだろうか。「NUNOANI塾」は数々の名作アニメーション作品を手がけてきた布川氏だからこそ実現できた私塾である。

現在、NUNOANI塾では2018年5月よりはじまる第6期開講へ向けて受講生を募集している。アニメーションプロデュース、アニメーション演出、脚本制作だけでなく、映像制作全般を網羅したカリキュラムを教えていく。
講師陣にはアニメーション監督の阿部記之氏、亀垣一氏、伊達勇登氏、若林厚史氏や、ストーリーコンサルタントの岡田勲氏、そして布川塾長といった豪華布陣に加え、布川氏のネットワークから招かれるゲスト講師も登壇する。

第6期を迎えるNUNOANI塾だが、ここで学んだ教えやスキルを活かしアニメ業界の第一線で活躍している卒業生も多い。
そこで今回、塾長の布川氏と、16年度卒業生であり現在はアニメーション演出家として『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』に参加している荻原健氏との対談インタビューを行った。NUNOANI塾ではどのような教育が行われているのか、またこれからのアニメ業界で求められる人材など幅広くうかがった。
[取材・構成=細川洋平]

NUNOANI塾 公式サイト
nunoani-project.jp/

「NUNOANI塾6期生 入塾説明会」
日時:2018年3月10日(土)12:00開始(30分程度)
場所:Three Eight Nine MITAKA 4階

「NUNOANI塾6期生 募集要項」
開塾日時:2018年5月12日(土)~2019年4月中旬(1年間)第2、第4土曜日13:00~18:00
募集人数:15名程度
場所:Three Eight Nine MITAKA 4階
受講料:1年間30万円(税別)年間約105時間以上

 

■NUNOANI塾は業界オンリーワン

――荻原さんはNUNOANI塾16年度の卒業生ですが、現在は『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』で絵コンテや演出に参加されています。卒業生から現役プレイヤーが生まれてくるのは心強いですね。

布川郁司塾長(以下、布川)
現場にデビューしてクレジットされるというのは、塾長として嬉しいかぎりです。育てた甲斐がありました。もちろんもっと多くの人にそうなってもらいたいと思っています。

――受講中の荻原さんの印象は覚えていらっしゃいますか?

布川
授業では10~15人ぐらいの人たちと顔を突き合わせるので、ひとりひとりの顔が見えます。受講生の態度や姿勢もよく分かり、荻原くんは目の色を変えて受講していたのを覚えています。


――そもそも、荻原さんはどうしてNUNOANI塾に入ろうと思ったのでしょうか。

荻原健氏(以下、荻原)
もともとはアニメ制作会社で撮影監督をしていました。将来的にアニメの演出をやってみたいと思っていたので、NUNOANI塾のことはずっと前から気になっていたんです。仕事が忙しくてなかなか受けられるような状況ではなかったのですが、あるとき仕事に余裕が生まれるタイミングがあったので、これはチャンス!ということで受講しました。

――撮影監督から演出家への転向にはどんな思いがあったんでしょうか。

荻原
「撮影」は作品制作のなかでも最終工程にあたりますが、自分なりの演出方法を考えたりと、作品作りの上流に携わりたかったんです。とはいえ、最初は自分に演出が出来るのか不安もあったので、NUNOANI塾を受講したときは、演出家の適性があるのか試してみよう! という軽い気持ちでしたね。
――NUNOANI塾を選んだのはどうしてですか?

荻原
専門学校など学生向けにアニメ演出を教える環境はありますが、社会人向けにこういった教えの場はそもそも珍しいですよね。講師の方たちも僕と同世代からすれば憧れの人ばかりで、そういう方から直接教えてもらえることも大きな魅力でした。

布川
「アニメーター」として基本的なアニメーションの知識をまず学んでから「演出家」に転向するケースは多いですが、アニメーターにならずにいきなり演出家というのは案外難しい。荻原くんのように「撮影」から「演出」へとアニメ業界に入ってから自分のステージを上げようという人たちが多い反面、一度スタジオに入って配属されてしまうと仕事に邁進しないといけないしスケジュールも管理されてしまう。チャンスがあるようでなかなかないんです。
これはぴえろも同じです。社内で学ぶ場所を作ればいいじゃないかという意見もありますが、現場で両立させるのは難しい。それでスタジオの外に「塾」という形で、演出家やプロデューサーを育てる環境をつくったわけです。

■今のリアルなアニメ現場の感覚に触れること

――荻原さんにうかがいたいのですが、NUNOANI塾で学んだことはどう現場で活かされていますか?

荻原
制作現場に入ってから、学んだことを実感することが多いです。演出方針やアニメ制作の基本的な考え方をじっくりと教わりましたが、現場に入って失敗した時に「そういえばあの時講義で言ってたな」と思い出すんです。
例えば絵コンテを切る時。シーンの色合いはキャラクターの心情に寄せるんだ、ということを「そういえば講義で聴いた!」と思い出して、学んだことが実体験になっていく感じです。

布川
「演出」の講義は、毎年現役の演出家3、4人で教えています。演出というのは時流やその時々のセンスが重要になってくる。現役の人たちが”今の現場の感覚”を教えるんです。

荻原
塾生にはアニメだけでなくゲームや漫画などいろんな業界の人がいます。なのでタイムシート云々といった実務的な作業よりも、「画作りとは」「レイアウトとは」といった考え方を教わる方が、自分の仕事にもフィードバックさせやすいし、広い意味で役に立つのだと思います。

布川
たとえば2016年に大ヒットした『君の名は。』は、テクニカルにカットを重ねるMV(ミュージックビデオ)的な要素が強く、従来の日本のアニメとは違った感性がありました。今後のアニメ作品もどんどん多様化していくことを踏まえると、時代の空気感をしっかりと捉えられる人が若手を育成しないといけない。

荻原くんが言うように、うちの塾にはアニメに限らずいろんな業界の人が入塾してきます。でも映像を作るという点では同じ。講師陣は”今”に対応したテクニックを教えているんです。

■理想は塾生たちが集まって”何か”を作ること

――カリキュラムの中で印象に残っている講義や講師の方は?

荻原
講師の皆さんそれぞれまったく違った授業をされるので、すべてが印象に残っています。たとえば阿部(記之)先生は毎週課題を出す方だし、若林(厚史)先生は基礎的なことを丁寧に教えてくださいます。亀垣(一)先生や水野(和則)先生(※)はマニュアルにとらわれないようなライブ感のある講義をされるスタイルでした。それに加えて布川先生のプロデューサーの授業と、岡田先生のストーリーテリングの授業があるし、時々ゲスト講師も来られる。とにかく幅広くて飽きませんでした。
(※水野和則氏は17年3月に急逝。スタジオぴえろを経てフリー。17年に至るまで、数多くの作品で絵コンテや演出を手がけた)

布川
プロデューサー講座では世界的な映像の流れを教えるという点で、ギャガ・コミュニケーションズの創業者でもある藤村(哲哉)さんや、AT-Xの岩田(圭介)さんをゲスト講師に招きました。
プロデューサーとひと口に言っても、制作プロデューサーもいれば、製作委員会で立つプロデューサーもいます。それぞれの立場で目線は違ってきますから、アニメーション制作の仕方から、プレゼン、企画のまとめ方、お金の集め方といったいろいろなことを教えていきます。

――荻原は演出志望でしたが、プロデューサー的な視点も学んでみていかがでしたか?

荻原
演出というのは自分の内面を探っていくような作業ですが、プロデューサー講義を受けることで客観的な視点を持って作品を見られるようになりました。そういえば、昨年の受講生は演出よりもプロデューサー志望の方が多かったですね。

――近年、プロデューサーが表に出るような作品が多くなってきたので、そういう流れもあるのでしょうか。

布川
ええ。これまで長い期間を通じて作られてきたテレビアニメの構造も変わってきています。アニメーション作品の作り方も変わってきて、プロデューサーの役割が見えやすくなってきたことも関係していると思います。

――同期の塾生同士で仲良くなったりしましたか?

荻原
通うまでは、正直そこまで仲良くなると思っていなかったのですが(笑)、いざ一年通ってみると不思議と仲良くなるものですね。

布川
年齢やキャリアはぜんぜん違えど、同じ水に染まっていると話題も共有できるし仲良くなりますよ。対して、我々業界人はプロダクションや制作に入ると、その中でのやりとりが長く続くから実はそんなに交流が多くありません。そういう意味でも仲間を作れる場になっていると思います。

塾長としての理想は、将来、卒業生たちの間で何かの企画や作品が生まれること。そういったときに大事になってくるのは、「これを作らなくちゃいけないんだ!」という熱病に冒されるぐらいの熱意です。ゼロからモノをつくろうというとき人やお金を集めるには、まわりの人間に「これだけ熱心にやってるなら、この人に賭けてみようか」と思わせないといけませんから。

■演出家になるにはとにかく絵コンテを描くこと

――荻原さんは『BORUTO』で演出家として現場で活躍されていますが、演出家デビューのきっかけはなんでしたか?

荻原
講師であり、『BORUTO』総監督の阿部先生から「演出をやりたいなら今度『BORUTO』でやってみないか」とお話をいただいたのがきっかけです。もちろん、入塾した当初は「ぴえろに就職させるわけではないので」と釘を刺されていましたし(笑)、僕もあくまで勉強しに来ているという気持ちだったのでコネクション面でそこまで期待はしていませんでしたが、お声がけいただい大変ありがたかったです。
実はその時に撮影監督の仕事も決まっていたのでかなり迷いました。上司に相談すると「やってみた方がいいんじゃないか」と言っていただけた。それで踏み出しました。

布川
新しいことをやるには勇気がいるからね。今までのキャリアを置いて、別のところでチャレンジするわけですから我々も強要はできない。スタートラインに立たせてあげるくらいしか我々には言えない。その先へ踏み切るのかどうかは個人の気持ちしかないですから。

荻原
僕の場合、撮影の仕事を続けながらNUNOANI塾に通っていて、スタッフの応援もあって塾の日は休めるようにしてもらっていたんです。スタジオを辞める時も快く送り出してもらいました。今は「この先、一人前になってまた昔の仲間と仕事をする!」ということを次の目標にしています。
今はまだ踏み出したばかり。踏み出す前には「ちょっと高い山だろう」くらいの気持ちでしたが、実際登ってみると「これ、アルプスだった!」という状況ですね(笑)。実力主義の世界なので自分の武器を身につけていかないと、と身を引き締めているところです。

布川
みんな通る道だからね。

――布川さんからこうして言葉をいただけるというのも心強いですね。荻原さんは塾に通っている最中、カリキュラム以外で特別がんばって取り組んだものなどありますか?

荻原
プライベートでは演出の本を読むくらいでしたが、阿部先生の課題はがんばりました。脚本1ページ程度の短いシーンを絵コンテにするというものですが、僕の場合は「1話ぶん(※)まるまる描く!」という風に毎回取り組んでいました。業界のいろんな演出家やプロデューサーから「絵コンテが描けないとお話にならない」と聞いていましたし、阿部先生が講義で「(受講生のなかで)1話ぶんのコンテを描いてくるヤツなんてそうそういない」とおっしゃるので、「なら自分は1本ちゃんと描く!」という気構えになってやってました。
(※ 30アニメの基本的なフォーマットで20ページ前後)
布川
絵のうまい下手関係なく、1本の絵コンテを描き切ることはすごく大事なことなんです。ひとつのドラマを描くという事ですから。

荻原
でも、受講しているときはもがいていました。今もそうですが、才能ある人はきっと20代や初期段階からすごいものを作るんだろうと思うので、それを考えると自分はまだまだだなと焦っています……。

布川
それはないよ。「自分には才能がある」と自分で言う人間にロクな奴はいないし(笑)、宮崎(駿)さんだって初演出は30代後半でしょ。演出のキャリアなんてそんな簡単ではないです。全ての作業部門のトップですから。才能だけで出来る事じゃないんです。

荻原
励みになります……!

■何にしても茨の道です

――最後に、今年NUNOANI塾に入塾しようと検討している人たちに対してアドバイスをお願いします。

荻原
僕は演出家志望でしたが、演出家やプロデューサーになることだけが、この塾に通う目標である必要はないと思います。実際、僕の同期生には、単純にここで得た技術を自分の仕事にフィードバックさせたい、という人も多かったです。ご興味がある方は、まずは体験入塾をオススメします。そこで自分にとって意義のあることなのか見極めていただければと思います。

布川
将来のアニメ業界を担う若手を育てているわけですが、演出にしてもプロデュースにしても「簡単なものだ」と言ったことは一度もないんです。ここは茨の道です。でもそれを学ぶ場がないというのが問題で、NUNOANI塾をはじめました。
日本のアニメーションは、国内だけでなく年々世界に拡大していってます。これからの世代の人たちがどんな新しい映像をつくってくれるのか楽しみにしています。アニメ業界で才能を試したいという人たちがまずスタートラインに立つためのお手伝いをNUNOANI塾で
できればいいと思っています。

「NUNOANI塾6期生 入塾説明会」
日時:2018年3月10日(土)12:00開始(30分程度)
場所:Three Eight Nine MITAKA 4階

「NUNOANI塾6期生 募集要項」
開塾日時:2018年5月12日(土)~2019年4月中旬(1年間)第2、第4土曜日13:00~18:00
募集人数:15名程度
場所:Three Eight Nine MITAKA 4階
受講料:1年間30万円(税別)年間約105時間以上