これからのアニメ制作進行に求められる資質とは? プロダクションI.G・後藤隆幸ら新人研修で講義


2017年11月27日(月)、一般社団法人日本動画協会・人材育成委員会は、東京・市ヶ谷のDNPプラザにて、業務歴1~3年程度の新人制作進行を対象に、「制作進行とクリエイターの関係」をテーマとした研修を行った。
業界歴で大先輩にあたる3人の講師による講義を通じて、制作進行という仕事に対しての理解を深めることを主な目的とした企画で、アニメスタジオ各社の新人制作進行52名が集まった。

最初の講師である株式会社トムス・エンタテインメント 特別顧問・吉田力雄氏は「時代とともに変化する制作進行の仕事」と題し、吉田氏が制作に関わったセル画アニメから、今後アニメがデジタル制作に移行するにあたり、制作進行が携わる工程がどのように変化してきたか、変化していくかを説明した。
各工程の説明にあたっては、吉田氏自身の制作現場におけるエピソードを紹介するとともに、制作進行という仕事に対しては「制作進行がいなくては、アニメは完成できない。制作進行の仕事に誇りを持ってほしい」と檄を飛ばした。

株式会社スタジオ雲雀 システム・アドミニストレータ/デジタル作画・技術担当・斎藤成史氏は、業界内で近年より一層重要なテーマとなってきたデジタル作画について、TVアニメ「潔癖男子!青山くん」の事例を踏まえて説明を行った。

現在、スタジオ雲雀では、ベトナムスタジオ含め動画は100%デジタルですすめているが、「潔癖男子!青山くん」では更にデジタル化をすすめ、絵コンテからプリビズやレイアウト、原画にいたるまですべてデジタルでワークフローが組み立てられたことが明かされた。その経験から完全デジタル化には、制作進行にとってのカット回収が不要になる、リテイクが速くなるといったメリットはあるものの、カット袋が物理的に存在しないことから管理の難しさが発生することも伝えられた。

最後の講師、株式会社プロダクション・アイジー 取締役/アニメーター・後藤隆幸氏は、自身がアニメーターであることを踏まえ、制作進行に求める資質を主なテーマとした「クリエイターが求める制作進行」の講義を行った。
クリエイターとのつきあい方に関しては、現在はデジタル化への移行期にあたり制作進行の仕事がデータ管理に偏りがちだが、クリエイターひとりずつに対していかに向き合うかを考える必要性がより一層重要となるのではないかとアドバイスをした。その中でコミュニケーションの方法論としては、挨拶や声がけなどの基本的なものを重ねることの意味は思いのほか大きいと語るとともに、今すぐできるアクションとして、担当している話数の原画に全て目を通すことを挙げた。原画チェックをとおして自分の審美眼を磨き、クリエイターと同じ目線でカットを見る力がつくことが、ひいてはクリエイターの信頼につながることを明かした。

休憩時間含め3時間半の長丁場ではあったが、参加者の集中力は途切れることなく、各講義後の各講師への質問コーナーでも、制作進行が担当する適切な本数についてや、デジタル作画における高頻度トラブル、海外配信の日本のマーケットに与える影響など幅広く行われ、参加者による関心の高さが垣間見えた。今年で3年目を迎えた「アニメ制作新人研修」、次回以降も、どのようなテーマで展開されるのか注目していきたい。
[中山英樹]

日本動画協会
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