CGと作画、ハイブリッドアニメの「正解」とは? 「正解するカド」CGスタッフが解説

9月10日、アニメ制作技術に関する総合イベント「あにつく2017」がUDX GALLERYにて開催された。「『正解するカド』CGメイキングセミナー」にはCGディレクター・カトウヤスヒロ氏をはじめ、東映アニメーションのスタッフが登壇。3DCGと手描きのハイブリッドによって生み出された話題作の制作秘話を披露した。

『正解するカド』は、東映アニメーションが初めて手がけた3DCGのオリジナルTVアニメシリーズである。本作は目標に「印象として7割以上がCGになること」を掲げた。CGはキャラクターの顔が崩れにくかったり、モデルを使い回せたりと様々なメリットがあるが、作るためには大量の時間と制作費が必要となる。まずは本格的な作業に入る前のプリプロダクションの段階で、何をCGにして何を手描きの作画にするかという区分けを決定した。
キャラクターは全33人のうち実際にCGで作られたのは15人で、数だけを見れば目標の数字には達していない。だがシナリオからセリフが多い人物をリストアップし、重要な登場人物だけをCGにすることによって、「印象として7割」に近付けていった。

CGのキャラクターは作画との親和性を高めるために情報量の整理を行った。フレームに収まるサイズによって、設定をどこまで描写するのかを変更したのだ。たとえばロングサイズでは髪のほつれ毛や服のしわなどは描かれないが、カメラが近付くにしたがって細部まで描写されるようになる。この段階でライトのプリセットも設定したため、ルックの統一感にも大きく貢献した。
本作を語るうえで欠かせないのが、謎の存在・ヤハクィザシュニナからもたらされる「異方のアイテム」だ。羽田空港に突如出現した巨大立方体・カドや、人類の生活環境を根源から変える力を持つ球体・ワムなど、ミステリアスな物質に関してはすべてCGで制作した。キーアイテムをCGで手がけることは、全体の印象を演出するうえで欠かせない要素だった。

絵コンテが上がってからはカットごとにCGと作画の区分けを行った。両者が混在するハイブリッドは工程が複雑になるため極力少なくし、クオリティ、コストパフォーマンス、シンプルな設計の3点を考慮して話し合いを重ねた。
最終的に全12話のカットを集計すると、CGが6割以上、作画は約3割、ハイブリッドは1割以下という振り分けになった。CGとハイブリッドの場面をあわせると約7割で、完成した映像には3Dの背景などもプラスされるため、カトウ氏は「印象として7割」という目標はクリアできたのではないかと振り返った。そして視聴者がCGや作画などを気にせず、物語に入り込むことができたのであれば大成功だと語った。

セミナーではそのほか、アニメーターが自分たちの姿を撮って芝居を作るための参考した作業風景や、Unity班によるカドの作り方なども紹介された。予定時間を大幅に超える盛り上がりを見せ、Q&Aでは様々な質問が飛び交うほどの大盛況となった。
[高橋克則]


あにつく 2017
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