映画大国インドと日本アニメ その協力の可能性 FICCI FRAMESから

[インド・エンタメ産業のコンベンションFICCI FRAMESとは?]
 3月16日から18日まで、インドのムンバイで開催されたFICCI FRAMES 2010というエンタテイメント産業の大型コンベンション会議に行く機会に望まれた。今年で11回目を迎えるFICCI FRAMESは、インドのエンタテイメント産業に関する様々なプログラムが組まれたこの分野で同国最大のイベントである。しかし、その名前は日本人にはほとんど耳慣れないに違いない。
 その理由はFICCI FRAMESの特異性にある。通常エンタテイメント産業のビジネスイベントは、企業間の取引を促す見本市、情報交換の場であるシンポジウムやコンファレンス、そして映画祭などの上映イベントの3点セットとなることが多い。
 しかし、FICCI FLAMEは、コンファレンスの機能が突出して重視されている。上映会などコンシュマー向けの企画がないため、重要性は高いにも関らず日本から見ればひそやかに開催されているとの印象だ。

 コンシュマー向けのイベントだけでなく、見本市機能B2Bもさほど大きなものでない。会場には企業・団体によりブース出展はあるが、その数は多くない。
 一方、3日間でおよそ50近くに及ぶトークセッションの充実ぶりに驚かされる。コンファレンスのゲストは、インド、欧米、アジア、中東の著名エンタテインメント企業のエグゼクティブが招かれている。インテル、ターナー、オートデスク、WPP、グーグル、ノキア、カートゥーンネットワーク、ドリームワークス、CNNなどそのビッグネームぶりに驚かされる。日本からはアニメ製作会社マッドハウスの丸山正雄代表取締役が招かれていた。
 FCCIの役割は通常の見本市のようなコンテンツ産業の取引の場というよりも、インドのエンタテイメント産業の発揚、誇示、アピール、そしてトップ外交の場の部分が大きいようだ。もし、それがインド・ムンバイのビジネスセクターがFCCIに期待するものであるならば、日本人である僕にそれは十分伝わったと言っていいだろう。

[インドのエンタメ産業はIT産業と不可分] 
 FICCI FRAMESを見れば、比較的短期間でインド・エンタテイメント産業の強み、今後のビジネスの可能性、そして課題が十分理解できる。そして、僕自身の関心領域であるアニメーション産業についても得るところは大きかった。
 まず、目についたインドのエンタテイメント産業の最大の特徴はIT産業とかなり強く結びついている点である。メインスポンサーにインテルやオートデスクなども名前を連ねるように、特にインドの映像、アニメーション、ゲーム産業は、IT分野と結びついている。今回のコンベンションで最も注目を浴びたトピックスが3D(立体視)映像であることからも理解出来るだろう。バンガロールなどを中心にIT立国として成長を続けるインドは、映像、アニメーション、ゲームでもまた最新のテクノロジーを駆使したうえで、受託制作を広く手がけている。コンテンツ産業もまた、IT産業と一分野との認識があるのかもしれない。

 もうひとつは、こうしたIT連動型の成長も含めたインドの独自のビジネス発展モデルである。インドのマーケットは欧米や日本の後を追うものでなく、既存の産業発展モデルを当てはめることは出来ないとの印象を受けた。
 例えば、インドでは映画、アニメーション、ゲームなどのパッケージ商品の普及率が低い。そして映画産業の収益のほとんどは劇場興行から回収している。これを見て、次の段階としてパッケージビジネスの拡大が期待出来ると考えるわけに行かないのだ。インドでは個人商店が多く大規模流通ネットワークが十分発達していない。短期間でこれを拡大することは難しいと思われる。
 一方で、モバイルの普及のスピードは凄まじい。世界で最も急速に成長している市場のひとつだ。そして、コンベンションでIPTV、UGC(User Generated Content)といった話題に挙がるようにインターネットへの関心も高い。
 となるとインドでは、パッケージビジネスの盛況といった経験を得ないまま、モバイル、オンラインのビジネスモデルに突入することも十分考えられる。その時インドの消費者が映像、音楽、ゲームコンテンツに対して持つ意識は日本などとは相当異なるものとなるだろう。

2に続く