芸術選奨文部科学大臣賞新人賞に 細田守監督

 文部科学省が毎年行っている芸術選奨の文部科学大臣賞新人賞メディア芸術分野にアニメ監督の細田守監督が選ばれた。文化庁は細田監督の贈賞理由について、「日本の伝統的な風土に根ざした大家族の生活と,世界をおおう未来としてのヴァーチャル空間とを見事に詰抗させることに成功し,作品世界をさらにひろげた」、「群像ドラマとしての内容が豊かだ」とする。そのうえで、細田監督が日本のアニメ分野を代表する新しい顔になりつつあるとして、その活動を評価した。
 また、文部科学大臣賞には、日本のCGアート表現の開拓者である。藤幡正樹さんを選出した。科学と芸術を融合させたCGアートの創作活動だけでなく、教育分野での取り組みや執筆活動が社会的に大きな影響力を持ったことも選奨に挙げられた。

 芸術選奨は国内の芸術作品・活動の中で優れた業績を残した人物を顕彰する目的で設けられている。第1回の顕彰は1950年に始まるという歴史の長さに特徴がある。その分野は、演劇や映画、音楽、舞踊、文学、美術、放送、大衆芸能、芸術振興、評論、メディア芸術の11分野にもわたる。歌舞伎や能などの伝統芸術からテレビや大衆芸能、さらに評論活動、芸術振興まで多様な領域をカバーしているのが特徴だ。
 そうした中でメディア芸術は、昨年2009年より設けられている。芸術表現のデジタル化を反映したもので、これまでカバー出来なかった分野を取り込んでいる。
 
 昨年は、電子楽器「TENORI-ON」を開発した岩井俊雄さんが文部科学賞メディア芸術分野、マンガ家の井上雄彦さんが文部科学大臣賞新人賞メディア芸術分野を受賞している。今回はこれに続くもので、特に新人賞は、2009年のマンガ、今回のアニメと昨今の行政におけるマンガ・アニメ重視を反映したものとなった。
 もうひとつのメディア芸術分野の側面がその言葉「メディア芸術」が示すように文化庁メディア芸術祭の活動とパラレルになっていることだ。2009年、2010年の受賞者4人のうち岩井俊雄さん、井上雄彦さん、細田守さんの3人は近年のメディア芸術祭の大賞受賞者である。また、受賞分野も分野もメディア芸術祭の対象とする「メディアアート」、「エンターテイメント」、「マンガ」、「アニメーション」とバランスよく配置されている。メディア芸術祭の成果を、より大きな文化全体のなかにつなげたものが芸術選奨メディア芸術分野といえる。

 ただひとつだけ気になるのは、メディア芸術祭とつなげたことで、メディア芸術分野に他の領域との重複が見られることだ。今回細田監督が受賞したアニメーションは、そもそも映画や放送の一分野、サブカテゴリーの中にあるのではないだろうか。本来はそこで評価されるべきものだ。同様にメディアアートも、美術の一分野ではないだろうか、という疑問である。
 メディア芸術カテゴリーの設立は新しい芸術表現の成長を感じさせると同時に、それらが本来あるべき領域の旧勢力との間に大きな分断を持っていることをも感じさせる。

文化庁 http://www.bunka.go.jp/