経産省 コンテンツ産業の成長戦略で研究会 5月に報告書

 経済産業省は、日本のコンテンツ産業の成長を目指して「コンテンツ産業の成長戦略に関する研究会」を設立した。研究会は内閣が掲げる「新成長戦略(基本方針)」に、日本のコンテンツの対外発信などが取り上げられたことを踏まえたものである。
 コンテンツ産業を日本の中核産業のひとつとして捉え、長期的な成長の実現を目指すための討議を行う。研究会のメンバーは東京大学大学院の浜野保樹教授を座長に、映画、アニメ、出版・マンガ、ゲーム、音楽、デジタルコンテツなど幅広い分野から参加する。
 知的財産戦略本部本部員の角川歴彦氏ほか、アニメ業界からは日本動画協会理事長でぴえろ代表取締役社長の布川郁司氏、ゲーム業界からはコンピューターエンターテインメント協会会長・スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役社長和田洋一氏、出版・マンガからは講談社副社長の野間省伸氏が参加している。

 研究会は1月25日に第1回が開催されており、討議の方向性が示された。今後は、2月から5月まで月1回研究会を開き、課題を討議する。5月半ばにはコンテンツ産業の成長戦略を策定するとしている。かなりスピード感を持った討議となる。
 重点課題となるのは、コンテンツ産業成長の核となるみられる2点、「海外展開の本格化」と「創造力の強化・新たな事業展開を支える環境整備」である。競争力があるとされながら海外事業が伸び悩む日本コンテンツの現状と、そうした競争力を支えるクリエイティビティの維持・発展が念頭にあるようだ。

 1月25日の研究会で配布された資料によれば、海外展開については海外市場情報の整理分析、海外事業展開のための人材育成、国際見本市の活用、流通網の構築、政府間・産業間の対話が挙げられている。
 その中で既に興味深い点が幾つか明らかになっている。例えば、情報収集先の重点地域として、中国を含むアジア各国、インド、中東、さらに南米に言及している。これまでコンテンツ産業の海外進出は、市場が大きく、市場構造が整った欧米市場に向けられることが多かった。しかし、新興市場は人口が多く、成長市場であると同時に、新規参入の機会もまた大きい。合理的な選択と言えるだろう。
 また、インターネットの活用や国際的な共同製作による海外流通のチャネル確保に言及するなど、多様なアイディアが盛り込まれている。国際見本市についても、海外見本市との連携強化、見本市の統合・集約化、コフェスタの海外展開など今後の方向性が伺える。

 「創造力の強化・新たな事業展開を支える環境整備」では、流通メディアの多様化、不正なコンテンツ流通の抑止、人材育成、コンテンツ製作と観光振興などが課題である。
 流通メディアの多様化では、パッケージビジネス、放送ビジネスの縮小に伴って、新たなメディアを組み込んだビジネスモデルの必要性に言及する。そして、クリエイターの育成という最もコアでかつ難しいテーマについては、分野を超えた交流の可能性、コンテンツと様々な財・サービスによるクリエティブマインドの維持を論点としている。
 短期間の討議としては、かなり広い分野にわたるものとなるが、第1回の研究会の内容を見る限り、その方向性は既にかなりの部分が明確になっている。今後は各界の識者の意見を交えながら、どのような肉づけ作業を行うかが鍵となりそうだ。

経済産業省 http://www.meti.go.jp/