知財本部 重点課題にコンテンツ流通と違法配信対策

 12月8日、総理官邸で知的財産戦略会議の会合が開催された。知的財産戦略会議は、日本の知的財産の創造や保護、振興を議論するものとして2003年に内閣府に設けられた。技術特許や産学連携、先端技術・医薬・バイオの研究開発と並び、アニメやマンガ、映画、ゲーム、音楽といったコンテンツ産業も大きな位置を占めている。
 今年6月以来のおよそ半年ぶりの開催となる。やや長めのブランクとなったが、これは9月の政権交代による影響とみられる。しかし、会合では知的財産戦略の重要性が強く打ちだされ、さらに「知的財産推進計画2010」(仮称)を2010年前半に策定するとした。今後も知的財産戦略を積極的に取り組むことが明らかになった。

 12月8日の議題は「知的財産をめぐる喫緊の課題について」である。今後の議論を進める上での問題点洗い出しとみられる。
 コンテンツ産業の分野では、特にコンテンツ産業の弱体化のおそれが大きく取上げられている。コンテンツ産業は海外に対する文化的な影響や経済波及効果が大きいにも関わらず、海外からの収入に結びついておらず、一方で国内産業の基盤が揺らいでいるとしている。

 そしてその課題を、「創造」、「保護」、「活用」の3つに分ける。「創造」では映像産業における番組制作費とDVD販売額の減少、そしてクリエイターへ利益還元が行われていないことを問題とする。
 「保護」では、インターネット上の著作権侵害行為をクローズアップした。違法着うた、ゲーム業界のマジコン被害、違法なアニメ配信の対策を掲げる。「活用」では、放送番組や書籍のネット流通への対応の必要性である。

 知財本部が11月から調査を開始したインターネット上の著作権侵害コンテンツ対策は、2010年に向けた重要な議題となりそうだ。知財本部はこの問題を、独立した項目として大きく取上げている。
 「ファンサブ」や「スキャンレーション」などの単語を挙げて、海外でのアニメ、マンガの違法流通の状況を指摘。また、違法着うたが正規市場を上回っていること、マジコンによるゲーム産業への被害が年間5000億円などの例を挙げる。そのうえで、2010年に模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)の締結を目指すことになる。

 違法流通については、本部委員の角川歴彦氏、里中満智子氏も大きく言及した。経済産業省もコンテンツ分野の3つの重点施策のひとつに海賊版対策を挙げる。
 経済産業省は、今後はパッケージ版の海賊版対策に加えて、ネット上の違法コンテンツ対策の強化を行う。米国MPA、中国ISPと協力し、違法コンテンツの検索・削除システムを構築中である。
 違法流通対策と対を成すのが、コンテンツ流通の促進である。こちらも新たな権利処理システムを構築中とする。またコンテンツ流通の促進と海外発信は、知財本部員の多くに共通した認識となっているようだ。

 知的財産戦略会議が設立された2003年は、日本のアニメ産業は好調で、海外市場での活躍が期待された時期でもある。それに合わせて、映画やドラマ、音楽、マンガなどの海外進出も期待された。しかし、現在まで、現実は必ずしもそうした期待に応えるものとなっていない。
 一方で、テレビ放送、音楽、アニメ、出版などが、インターネットなどの影響による産業構造の変化の影響を受けた市場縮小に向っている。2010年の知的財産戦略はこうした環境の変化も合わせ、これまでと異なった新たな展開が見られそうだ。

知的財産戦略会議 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/index.html