宮城県白石市に旭プロのアニメ制作スタジオ設立

 宮城県は県が進める情報産業振興戦略に基づいて、白石市にアニメ制作スタジオの設立誘致を行ったことを発表した。スタジオを設立するのは東京都練馬区に本社を持つ旭プロダクションである。11月26日に白石市と旭プロダクションの間で、包括協定が締結された。
 協定によればアニメスタジオは、白石市がマルチメディア時代の情報空間として設立した白石市情報センター(アテネ)に立地する。人員は地元での雇用とし、当初は10名からスタート、最大で30名まで拡大する。また、スタジオはアニメ制作だけでなく、自治体や地元企業と協力した県民向けの公開アニメ講座なども行いたいとしている。

 宮城県と白石市は今回のスタジオの立ち上げを、県内と東北地域のクリエーターを発掘と育成につなげるとしている。さらに、アニメ作品を全国へ向けて発信することを視野に入れる。
 宮城県はこれまでも、地域の新しい産業振興として、デジタルコンテンツ産業の集積に力を入れてきた。宮城・仙台アニメーショングランプリの開催やアニメを中心にしたビジネスプランの公募なども行っている。
 また、最近では大きなブームを巻き起こしたアニメ『戦国BASARA』とのコラボレーションにより、地域商品のプロモーション、観光振興を行うなど注目を浴びている。今回、スタジオが立地される白石市も『戦国BASARA』に登場する戦国武将 片岡小十郎の地元でもある。

 旭プロダクションは、1973年にテレビアニメの撮影やテレビコマーシャルの制作を中心業務に設立された。この分野で高い実績を持つ制作会社として知られている。『機動戦士ガンダム』シリーズなどの撮影やサンリオのキャラクターが登場するアニメ制作を手掛けている。アニメについては、撮影業務が主体であったが、2000年代に入りデジタル制作、さらにアニメ番組制作などに事業を拡大している。
 近年、アニメの制作現場ではポストプロダクションのデジタル化が進んでいる。いち早くデジタル制作のノウハウを身につけたポストプロダクションのスタジオが、デジタル化が広がるプロダクション工程に進出するケースが増えている。旭プロダクションは、そうした企業のひとつとも言えるだろう。

 また、今回の宮城県へのスタジオ立地は、地方に拠点を持つアニメスタジオが次第に力をつけている現在のトレンドも反映していそうだ。
 アニメスタジオは情報の交換や原画・動画、フィルムの搬送などの作業から、都心立地が有利な業界とされてきた。しかし、アニメ制作のデジタル化が進み、そうした垣根は崩れ始めている。
 既に元請けスタジオとして、京都アニメーションや富山県にあるピーエーワークスが大きな実績を残している。既存のスタジオでもぴえろ福岡分室、プロダクション I.Gの新潟スタジオなどがある。
 
 さらに2009年には、地方のスタジオと人材育成を結びつけるかたちで、スタジオジブリが愛知県豊田市に西ジブリを、ユーフォーテーブルが徳島スタジオを設立した。来年3月には神戸に官産学が連携するアニスタ神戸がスタートする。今回の旭プロダクションの動きも、こうした流れのひとつと考えられそうだ。
 こうした動きには、人材不足に悩むアニメ業界と若年層の雇用の不足や産業のデジタル化の遅れに悩む地方自治体の思惑が結びついている面もある。従来の都市型産業と思われてきたアニメ制作は、これまでと全く異なる様相を見せ始めている。

旭プロダクション http://www.asahi-pro.co.jp/
宮城県 http://www.pref.miyagi.jp/
白石市 http://www.city.shiroishi.miyagi.jp/

白石市情報センター(アテネ)http://www.city.shiroishi.miyagi.jp/section/athens/