米ファニメーション オリジナルアニメ製作進出 新部門設立

 米国最大の日本アニメの流通会社であるファニメーション(FUNimation Entertainment)は、オリジナルのアニメ製作に乗り出す。11月23日、同社はChris Moujaes氏を招聘し、オリジナル・エンタテインメント部門の部長に任命した。
 ファニメーションはChris Moujaes氏が同社にて、メジャーな作品を基にしたオリジナルアニメの開発と獲得を担当するとしている。共同製作において重要な役割を果たすことになる。

 Chris Moujaes氏はテキサス大学オースチン校でラジオ・テレビ・映画を専攻し、AOLキッズやSpoonbendといった企業でアニメーションビジネスの経験を重ねた。その後、米国とインドに拠点を持つアニメーション製作会社Boomstarを共同で設立した。
 ファニメーションは同氏の国際的な共同製作の経験が、会社にとって大きな力を発揮するとしている。新規事業におけるMoujaes氏の活躍が期待されることになりそうだ。

 ファニメーションは、日本のアニメ作品の北米版の発売、流通で知られている。DVDの日本アニメ市場でおよそ半分のシェアを占める大手である。これまでは日本アニメの翻訳出版を行ってきたが、新たに自社による作品製作に乗り出す。
 実際に、どのような作品を手掛けるのか、制作体制はどうするのかなどは、今回触れられていない。Moujaes氏がインド企業とのつながりが深いことから、制作についてはインドでの事業展開の可能性もありそうだ。ただし、事業はオリジナルの「アニメ」開発とされており、日本アニメスタイルが取られるとみられる。

 ファニメーションがオリジルアニメ製作に乗り出す理由は幾つかあるだろう。ひとつは、一部の作品を除いて、日本のアニメDVDの北米での売上が減少しており、新しい収益事業を開発する必要があることだ。そうした中で、『アバター 伝説の少年アン』に代表される日本アニメスタイルを取り入れた米国産アニメーションの好調が念頭にあるに違いない。
 もうひとつは、日本アニメの著作権は日本の権利者が保有しており、ビジネス展開も日本の権利者の意向により制限されることが多いためだ。それはDVDのフォーマットやインターネット配信、Blu-Ray Discの発売、商品展開の時期までに及ぶ。自社製作であれば、より自由にビジネス戦略が立てられるだけでなく、成功した時のリターンも拡大する。

 米国のアニメ流通企業による日本アニメの共同製作は、これまでにも例はある。2002年にアーバンビジョン(Urban Vision Entertainment)が手掛けた『吸血鬼ハンターD』は、その最も成功したものだ。また、2005年に角川グループとA.Dヴィジョンが共同製作した『強殖装甲ガイバー』などもある。近年もマンガ・エンタテインメントによるアニメ『HIGHLANDER』や『ストレイト・ジャケット』などがある。
 しかし、そうした作品が必ずしも米国でヒットしているわけではなく、現地企業にとっては日本アニメのライセンス獲得よりも大きな投資となる。さらに作品のあたりはずれによるビジネスリスクも拡大する。それでも閉塞感漂う北米のアニメ業界にとっては、オリジナルアニメの開発は可能性のある事業ということなのかもしれない。